「低周波音被害 とは何か」

  
低周波音被害とは何か?」

2017年2月15日に、和歌山弁護士会の主催による「低周波音被害を考える」というシンポジウムが開かれました。その時に、基調講演をなさいました小林芳正氏(京大名誉教授 西名阪道路訴訟の原告側調査団長)が「日本の科学者」7月号にレビューを寄せられましたので、紹介いたします。

                  関連記事 「黙殺の音 低周波音」低周波音問題に今後の進展はあるか





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夏の「謹賀新年」

 
    当会「NPO法人STOP低周波音被害」は、2017年7月15日、神戸で勉強会を開きました。オープンスペースで公開セミナーという形で試みで行いましたが、残念ながら、当日お集まりくださいましたのは会員の方がほとんどでした。一般の方はちらりと中を覗いて立ち去っていく方ばかりで、次回からはもっと事前に広く告知する必要を感じました。

 勉強会後の交流会では、皆様それぞれの被害状況や交渉の進捗状況について語り合いました。その中で、エコキュートの被害者Aさんのことをご紹介したいと思います。Aさんは、今年元旦、最後の年賀状をお書きになり、できるだけ多くの人にこの被害を知ってほしいという思いで、そのコピーをいつも持ち歩いていらっしゃいます。


年賀状  




    A
さんは、被害にあって丸5年が経ち、今年は80歳におなりです。昨年やっと、自宅を離れ、避難されましたが、鋭敏になってしまったお体には、避難先でも平穏には過ごせず、わずかな期間に転居を重ね、それでも今尚お辛い毎日を送っていらっしゃいます。足がご不自由で杖を2本使って、地下鉄を乗り継ぎ、長時間をかけて勉強会に参加してくださいました。

 Aさん宅は2世帯住宅で、子世帯は早々に避難生活を始めていましたが、Aさんは心情的にご自宅を離れられず、被害を解決するために、紛争解決センターや、裁判所で調停を行ったものの、和解には至りませんでした。そして昨年、これを最後にと、隣家にエコキュートの撤去(費用は被害者負担)を再度、お願いしましたが、隣家は「(Aさん宅の)健康より、エコキュートが大事。エコキュートがかわいい」と言い放ち、Aさんはついにその地に留まることを諦め、自宅を後にすることになりました。Aさんご夫婦は、1995年の阪神大震災で自宅が全壊となり、新築した2世帯住宅で余生を送っていらっしゃいました。共に暮らしてきた親子2世帯はたった1台の機械で分断され、思い出の詰まった自宅を捨てざるを得なくなりました。

 

エコキュートの低周波音を苦に2世帯6人が自宅に住めなくなり、その結果、被害者宅が空き家になっても、独居の所有者は頑なにエコキュートの撤去を拒否しています。自分の設置した機器がそれほどまでに隣家を苦しめることに対し、良心の呵責など感じないのでしょうか。長年の隣近所の付き合いがありながら、なぜここまで「意地悪」としか思えない行為をするのでしょう。 

 この日、集まった被害者の方、皆に共通しているのは、機器所有者の傍若無人ぶりです。生活を破綻させられ、人生が狂わされてしまった被害者に対し、暴言を吐き、「文句があれば裁判したら。負けないよ。」と怒鳴る所有者です。こうした事態になると、人の心はここまで荒廃してしまうものでしょうか。

 

2014年冬の消費者庁消費者安全調査委員会のエコキュート調査報告書により、「エコキュートの稼働音が健康被害をもたらす可能性があると推測される」との見解が出されたにも関わらず、事業者はいまだに被害の存在を認めようとしません。

所有者は仮に被害を認めなくとも、隣家の窮状を思いやり、その解決のために、何らかの譲歩をすると言うのが人間本来の心ではないでしょうか。

所有者の権利には義務が、自由には責任が伴うはずです。機器の設置について、設置の権利と自由が有るならば、他人に迷惑をかけてはならない義務と責任が伴うのは当然では無いでしょうか。



騒音制御工学会講演会

2017530日、騒音制御工学会の総会があり、その後の講演会に関東在住の当会関係者が3名出席して、講演を聞いてきました。予想どおりの内容でしたが、その要約をお知らせいたします。

 

講演会講師

・環境省行木美弥氏

・青山学院大学特任教授佐藤敏彦氏

 

佐藤敏彦氏は公衆衛生(特に疫学)の専門家で、数少ない医学系研究者として長年、以下の環境省各委員会や消費者庁消費者安全調査委員会(事故調)にも関わってきました。佐藤氏の主張はおそらく現在の騒音制御工学会の主流の考え方だと思われ、現在、調査中のエネファーム・エコウィルの報告書にも少なからず影響があるかと思われます。調査報告書が被害未然防止に役立つものであるようにという被害者の期待を裏切ることのないよう願っております。

  

    ①参照値について

・低周波音問題対応のための「手引」検討委員(H16年)

②風力発電について

風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務(H25年)

・風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会委員(H25年)、

風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会委員(H28年)

 ③家庭用給湯器について

・消費者庁消費者安調査委員会専門委員(H24年~)

    ヒートポンプ(エコキュート)(H24年~H26年)

    コージェネ(エネファーム・エコウィル)(H27年~)

 

講演内容について要約 (資料配布はなし)

A "日本の環境行政" 環境省大気生活環境室室長 行木美弥氏

  騒音および低周波音の「苦情」に対する環境省の取り組みを紹介。

  

低周波音は平成19年頃から、急激に増加(全体の2%)。平成22年からは風力発電が「いろいろと話題になってきたので」、取り組みが始まる。

 平成28年に「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書(案)」公表。これからグラフを引用し、「知見」として以下を上げる。

1.     「低周波音は聞こえないレベル」

2.     「風車から低周波音はそんなに出ていない」

3.     「よって風車は低周波音の問題ではなく、騒音の問題」

4.     「騒音として耳につきやすい、スウィッシュ音でアノイアンスがある」

5.     「静かな環境だと煩わしさが上がる」

6.     「風車による景観の阻害や金銭的なことも煩わしさに影響する」

 

  風車騒音の指針についても、例の「+5dB」のグラフで説明。

 

B "騒音・低周波音の人への健康影響 わかっていること、わかっていないこと、今後調べるべきこと-"青山学院大学(社会情報学研究科特任教授)佐藤敏彦氏
     「講演要旨」
   1.     中世の医者(錬金術師でもある)パラケルススを引き、「毒かどうかは量の問題。曝露の量が問題」

2.     「今日は量の問題を強調したいのと、論文は批判的吟味が必要、ということを言いたい」

3.     「低周波音曝露による特異的な健康影響はあるのか。専門家と専門家以外の人の間に認知の差が生じている」

4.     「ネットで『低周波音は恐ろしい』と書いているところがあるが、本当にそうか」

5.     「名古屋大学の加藤氏[1] が、『低周波がマウスの平衡感覚を崩す』という論文を発表したが、これにも批判はできる。しょせん、動物の実験は人間のエビデンスにならない。人間の結果が優先される」

6.     「疫学的因果関係は、「関係ある」というのは大変だが、「関係ない」というほうが実はより大変」

7.     「低周波音の曝露量が少なければ、納得性が少ない。そんな量で心臓に影響があるか」

8.     「日本で2015年、鹿児島で風車環境の調査をしたが、回収データが少なくて話にならない」

9.     「疫学はあまり役に立たない。エコキュートで1万分の1の人が体調を崩す。コホート研究も断面研究も、人が少なすぎると有意差なしとなる」

10.  「低周波音に感受性の高い人がいるのか」

11.  「発達障害の人は音に敏感だ。こう言うと問題があるのかもしれないが、これは事実」

  

「今後調べることについて」、

1.     「なぜ個体差が出るのか。同じ家に住んでいても影響の出る人と、そうでない人がいるのか」

2.     暴露感覚が無い暴露レベルで身体に影響は起こりうるのか(内耳への影響の客観的評価)

3.     症例を集積して「高感受性」の有無と、その要因を調べる。

4.     「より洗練された、説得力のある疫学研究法が必要」

5.     「因果関係の説明はゴールではない。存在する健康問題の解消こそがゴール」

6.     「そのために『診断治療』という手段もある。言葉や精神安定剤だ」

7.     「社会を少しでもよくしようという気持ちをつねに持ってやりましょう」

 

「質疑応答」

Q  「弱者救済が必要。切り捨てるのはまずい、高感受性の人たちにアプローチするべき、という

社会情勢になっている。どう判断すればいいと思うか」

A  「非常に難しい。高感受性の正体が明らかになっていないのが困る。どうしたらよいか、分か

らない。」

 

 

参考資料

佐藤氏のお話の中で、『低周波がマウスの平衡感覚を崩す』という加藤氏の研究が引用されておりました。調べてみると
二つヒットいたしました。

  ・物理的環境ストレスが誘発する内耳障害 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/72/1/72_38/_article/-char/ja/
  ・環境ストレスと関連する聴覚系疾患の解析https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/70/2/70_100/_article/-char/ja/
 


[1]名古屋大学医学系研究科(環境労働衛生学)加藤昌志教授  


長時間連続稼働の給湯器がもたらす悲劇


 今までお知らせしてきましたように、消費者庁消費者安全調査委員会が2012年よりエコキュートをはじめとする給湯器の調査を行っており、それをきっかけに、この問題はマスメディアにも取り上げられるようになりました。私たち被害者の努力で、確かに低周波音問題に関する世間の認知は進んできていますが、それでも、まだまだ世間の理解の無さから、給湯器を原因とする悲劇は各地で起こっております。「たかが隣家の給湯器ごとき」で、なぜ、これほどまでに生活が破壊され、人生を翻弄される人が後を絶たないのでしょう。

 このブログは、国や自治体の行政職の方もご覧になっているようですので、現状を知っていただきたく、当会掲示板より被害の1例、HN「耐え切れず避難した」様(Aさん)の事例を紹介いたします。

 

Aさんは、自宅を新築し、家具も新しく揃えて、希望に満ちた生活を送るはずでした。しかし、近隣のエコキュートにより、その生活が一変してしまう悲劇に見舞われました。厳寒の季節、苦しさのあまり室内におられず、玄関の外で布団にくるまって過ごすという過酷さです。それでも、近隣からの理解は得られず、解決が見込めない状況に困り果てて、自宅の売却を決意し、避難することになりました。被害者のお宅では、夫婦関係が悪化することも多く、Aさんのお宅でも、このような選択に至るには連日連夜の口論などもおありだったのではないでしょうか。言葉では表しきれないほどの怒りや悲しみ、不安をどれほどAさんは経験されたことでしょう。避難先には収まらない新しい家具をリサイクルに出す辛さなど、同じ被害者であっても、状況が異なれば、それぞれに想像のつかない悲しみがたくさんあったと思われます。
  Aさんの場合、避難をして、それで問題が解決したわけではありませんでした。現実的には、自宅の売却もうまく進まず、ローンの返済と避難先の賃貸料が家計を圧迫し、生活は困窮化。さらに避難先では多数エアコンの稼働音に襲われ、新たな避難先を探し出さなければなりませんでした。再転居は、肉体的、精神的、そして何よりも経済的負担を発生させる一方、学齢期のお子さんには、短期間に相次ぐ転校が大きな負担となり、基盤となる家庭の不安定さも相まって、不登校を生じさせ、不測の事態の連鎖を生み出しています。


  管理人の場合はAさんより年齢も高く、すでにローン返済も終わった家であったために、家財の多くを残したまま、最小限の荷物で、避難先に入り、安全を確保しました。自宅近くにURがあり、保証人無し、礼金無しという条件で、もし、問題が生じても同じUR内で引っ越しが可能で、その点からも気持ちは随分楽になりました。

それでも、避難前の、不眠の続いた当時は、日常的に自殺を考えるような深刻な状況で、「もし、避難先がだめだったら、どうしよう。高層階から飛び降りてしまうのだろうか」と不安な毎日でした。

しかし、管理人の場合はこれらのことは杞憂に終わりました。未だに元の問題は解決しておらず、現在もストレスマックスで闘いの最中ですが、避難生活に多少の不便はあるものの、家族ともに元気で過ごせています。当時、近居とはいえ、90歳近くの両親がおり、いつ何どき、何がおこるかわからない状況で、家族皆、あの期間を無事過ごせたことは、今になって、運が良かったとしかいいようがありません。不幸が重なれば、単独では乗り切れる困難も乗り切れず、新たな不幸を呼び寄せてしまいます。管理人には人生の最大の危機で、家庭不和から家庭崩壊の危機さえありましたから、Aさんの現状を考えると本当に気が遠くなる思いがします。

 

Aさんにはお子さんもいらっしゃり、守るべきことが多く、絶対に家族を崩壊させるわけにはいきません。Aさんは今を乗り切るしかありません。ご自宅が売却されるまで、落ち着かず、辛い時期が続きますが、いくら考えても、事態は変わりません。Aさんはご家族の太陽。ご自分とご家族が元気でいることだけを考えて、余分なことでストレスにならないよう、ご自分を守り、試練を乗り越えてください。当会は、ご自宅ができるだけ早く売却され、生活が再建されますよう、心から祈り、このような悲劇がなくなるよう、活動に一層励みたいと思っています。 



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  人生いろいろなステージで、災難は発生し、どのステージにおいてもそれぞれ特有の困難さがあります。
 若くして、低周波音に過敏となり、仕事を失い、生活保護を受けておられる失意の方がいます。人生の晩年にこの被害にあい、50年以上、住んだ「我が家」を離れ、避難している高齢の方がいます。この方は自宅に戻る道が閉ざされてしまったせいで、現在、老人施設を検討されています。

 たかが隣家の給湯器で、このように人生の悲惨を何の罪もない私たちが味わわされているのです。そして、この悲劇を知りながら、給湯器の所有者は、その非を認めず、移設にも撤去にも応じないのです。
  もちろん、給湯器の所有者は給湯器に関する問題を「知らされていない」だけで、「巻き込まれた」被害者である面もありますが、隣人の被害を知らされても、何の対策もとろうとしない所で、被害者から加害者に転じています。事業者の「単なる思い過ごし。神経質。生活音はお互い様」という、都合のよい言葉を信じ、隣人の苦しみから目を背ける加害者です。

行政の皆様

  国や自治体が補助金制度を設けて、普及推進をしてきたエコキュート、エコウィル、エネファームですが、その陰で、自宅を追われる被害者が続出しています。あなたがたは、そうしたモノによる被害の実態をどれほど、把握されていますでしょうか。行政が責任を持って対策し、このような悲劇の発生を一日も早く止めてください。

 
 エネファームは、先日、製造業者である東芝が赤字で、採算の見込みがないとして、家庭用燃料電池から撤退するというニュースがありました。この家庭用燃料電池の開発や普及にNEDOが関与しています。多くの税金を投入したはずの家庭用燃料電池。それが一部の国民を地獄に突き落としています。その事実にどう対処されますか。行政の問題では無いと知らんぷりされるでしょうか。
 行政に携わる方も組織を離れれば、一市民。あなたも、私たち被害者の仲間にいつ合流することになるか解りません。もし、あなたが、被害に遭った時に、現在の行政の対応でよろしいのですか。生活の根底から揺さぶられ、人生までもが一変してしまっても、行政は何もしないのです。





東芝エネファームの販売終了 採算悪化で撤退

東芝がエネファームの製造・販売から撤退するそうです。2014年にはENEOSが撤退しています。

以下、ニュースから。

★日本経済新聞 「東芝、家庭向け燃料電池から撤退」 日経

 「東芝は14日、7月末で家庭用燃料電池システム『エネファーム』の製造・販売から撤退すると発表した。エネルギー部門子会社の東芝燃料電池システム(横浜市)で手がけているが採算が悪化している。販売済みの装置の保守・サービスは続ける。経営再建に向けてグループで事業の選択と集中を進めるなか、将来的な収益回復も見込みにくいと判断した。
 東芝はガス会社向けに2009年に発売し累計で約8万台を売る。14年度にシェア首位となったが15~16年度は営業赤字となり、パナソニックなどにおされて苦戦していた。すでに販売した装置の保守・サービスは継続する。次世代エネルギーと位置付けて強化する方針の水素関連技術には強みを持っており、東芝燃料が手がける純水素燃料電池事業は継続する。
 家庭用燃料電池は都市ガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて電気を作る装置。発電時の熱で温水も作ることができる。
 東芝は米原子力事業会社の法的整理に伴い巨額損失を計上。半導体メモリー子会社の売却手続きを進めるなど債務超過の解消をめざしている。これらの大枠の再建策と同時に、個別事業の選択と集中も進めており、これまでに野菜工場や活動量計などウエアラブル事業などから撤退している。」

★サンケイビズ 「東芝、エネファームの販売終了」

「東芝は14日、都市ガスを利用して電気とお湯をつくる家庭用燃料電池『エネファーム』の製造と販売を7月末に終了すると発表した。事業の採算が悪化しているため撤退する。既に販売したエネファームのメンテナンスは今後も継続する。東芝は2009年にエネファームを発売した。14年度には、売上高がピークの210億円だったが、15年度には営業損益が赤字に転落。16年度も赤字の見込みという。製品の小型化や開発コスト削減といった他社との競争で、収益力が低下したとみられる。
 エネファームは、東芝やパナソニックのほか、アイシン精機が製造し、東京ガスや大阪ガスなどの都市ガス会社が、家庭や住宅メーカーに販売している。」


★日刊工業新聞   「東芝、エネファーム撤退 経営再建へ構造改革」
★  毎日新聞    「東芝:エネファームの販売終了 採算悪化で撤退」
★    NHK      「東芝 家庭用燃料電池事業から撤退へ」

朝日新聞記事 ”給湯器の低周波音で「健康被害」の訴え”

”給湯器の低周波音で「健康被害」の訴え”

朝日新聞和歌山版
に当会会員の被害について記事が掲載されました。 以下記事より

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 省エネ型の電気給湯器「エコキュート」が作動する時に出す「低周波音」が原因とみられる健康症状を訴える事例が、県内でも出始めた。すでに消費者庁が同様の事例について注意を呼びかけているが、低周波音を規制する基準がなく、被害者は厳しい立場に置かれている。

■頭痛で避難生活4年

 県中部の由良町。男性(68)は毎朝9時過ぎ、車で自宅を離れる。行き先は公民館や親戚の家。時には車の中で長い時間を過ごす。本当は出かけたいわけではない。「日中自宅にいると、頭痛や耳の痛みがひどいんです」。帰宅は夕方以降。こんな「避難生活」はもう4年目に入った。

 男性は造船関連会社に勤め、東京や大阪での単身赴任生活が長かった。62歳で退職し、ようやく地元で第二の人生を踏み出した2012年秋。耳の痛みや頭痛を感じ、眠れなくなった。それまで健康診断でも大きな問題はなかった。何が起きたのか。

 症状が出る約1カ月前、自宅の向かいにある老人福祉施設が、ヒートポンプ式給湯器「エコキュート」を3台設置したことが分かった。当時、エコキュートが出す「低周波音」の被害を訴える人が、全国で出始めていた。

 低周波音とはおおむね100ヘルツ以下の低い音を指す。感じ方には個人差が大きい。男性には日夜運転音が聞こえていたが、近隣住民の多くが問題視している状況ではなかった。男性は症状の原因が低周波音ではないかと考え、施設に改善を申し入れた。

 施設側がメーカーに依頼して低周波音を測定した結果、男性方の屋外では、国が示す「参照値」を超えていたという。「参照値」とは、苦情の原因が低周波音かどうかを判断する目安として、04年に環境省が示した値だ。夜間の運転を停止し、昼間出力を60%に落とす対応が取られた。

 それでも男性の症状は収まらず、県に相談。県は、2回にわたって適切に対応するよう施設側を行政指導したものの、追加対応には難色を示している。「低周波音に対する法的な規制基準が存在しない」(県環境管理課)ため、行政指導に強制力はない。

 県は昨年から今年にかけ、現地調査を実施。男性の健康症状は「エコキュートの稼働と対応関係がある」と断定した。ただ低周波音については、自宅内で「参照値」を下回っていたことから、症状の原因である可能性は「10%程度」と結論づけた。

■「調査し規制基準を」

 近畿大学の翁長博教授(建築音響学)は、県調査の結論に首をかしげる。翁長教授は昨年から、エコキュートなどの機器が出す低周波音で悩む人たちの自宅などで測定を重ねている。「これまで十数件測定したが、すべての事例で『参照値』を下回っていた。参照値は被害の実態とかけ離れている」と指摘する。

 環境省は、参照値以下で被害を訴える事例が出てきたことから、14年に「個人差があることも考慮し判断することが極めて重要」と自治体に通知した。その一方で「(参照値は)低周波音についての対策目標値などとして策定したものではない」とも述べ、規制については消極的な姿勢に終始している。

 翁長教授は「被害事例を国の責任で調査し、参照値に替わる新しい規制基準を設けるべきだ」と話す。由良町の男性は「低周波音による健康症状は、ある日突然発症する。全国各地に被害者が存在することを知ってほしい。住み慣れた自宅で苦しまずに過ごしたい」と訴えている。

 施設を運営する社会福祉法人は取材に対し「納得いただくまで関係各位と相談・連携を図りつつさらなる改善に努めたい」とコメントした。(白木琢歩)

     ◇

 〈エコキュート〉 空気中の熱を集めて使う「ヒートポンプ」で湯を沸かす、省エネ型の電気給湯器の愛称。家庭向けの累計出荷台数は昨年500万台を超えた。国の消費者安全調査委員会は2014年、エコキュートの運転音で不眠などになった事例を調査し、低周波音が症状の発生に関与している可能性を指摘。消費者庁は昨年「設置者は、健康症状の可能性について理解し、低減する努力が求められる」との見解を出した。

 県消費生活センターによると、ヒートポンプ式給湯器の運転音についての苦情がこれまでに2件寄せられているという。

低周波音被害に苦しんでおられる皆様へ

低周波音被害に苦しんでおられる皆様へ。

世間に知られることのないこの被害。被害が発生しても周囲には理解されず、一旦、低周波音という泥沼に足を取られれば、脱出するのは至難の業。

 しかし、私たち被害者自身が諦めず、被害を解決する意思を強く持って、この問題に粘り強く取り組み、各方面に働きかけてきた結果、この被害を取り巻く状況が一つづつ変わってきました。最近では、大手新聞もこの問題を報道してくれるようになり、何年か前までの暗黒時代を思うと、隔世の感があります。それでも、解決はまだまだ難しく、被害者自身の頑張りが求められています。
 被害に苦しむ皆様、手をつなぐことで勇気と気力を得て、希望を持って、この問題に立ち向かっていきましょう。私たちの問題を一つ一つ解決することがきっと、これからの住環境を守ることにつながっていくと思います。

公害審査会調停成立



エネファーム運転音による健康被害に関する事件で、調停が成立したようです。調停内容は不明ですが、穏やかな日常生活を一日も早く取り戻されますよう、願っております。

公害等調整委員会HP「ちょうせい」10から引用です。



公害審査会で終結した事件

事件の表示

大阪府 平成28(調) 第2号事件

[家庭用燃料電池からの騒音・振動被害防止及び損害賠償請求事件]

申請人

大阪府 住民2人

被申請人

大阪府 住民1人

事件の概要

平成28年6月2日受付

 

申請人らは、家庭用燃料電池の運転音による騒音・振動により夜は不眠、日中は頭痛、胸の圧迫感があり、止まらない音にイライラして、体の疲労は増大し、被申請人に苦情を申し入れたが改善されない。

よって、被申請人は、

①被申請人宅に設置した家庭用燃料電池の運転を直ちに停止し、本件家庭  
  用燃料電池及
び家庭用ヒートポンプ給湯機等の類似する機器以外の機器
  に変更すること

②申請人らが本件家庭用燃料電池から生じる運転音・振動による被害を避け
  るため、自宅か
ら現住所に避難している間の家賃支払相当額を賠償するこ
  と
 
③申請人らの受けた身体的、精神的苦痛に対し慰謝料を支払うこと。

終結の概要

平成29年2月23日 調停成立

 

調停委員会は、6回の調停期日の開催等手続を進めた結果、調停委員会の提示した調停案を当事者双方が受諾し、本件は終結した。



被害者の声(アンケートより) 23

2017年5月16日現在、アンケート回答数は  283件です。
        アンケートは
こちら

◆283 2017/5/16  その他 不明
低周波音と知らず夜に変な音のしない静かな環境を求め引越し繰り返して、かえって音が酷くなり症状悪化してきました。インバータない旧式冷蔵庫に変えたら楽なので、低周波音被害と考えるようになりました。
役所は被害の酷い夜間測定してくれず、高額機器を理由に?貸出しに応じません。民間業者に借りた機器では何処で測っても測定の度全く違う値になり参考になりませんでした。お金も職も失い途方にくれています。

◆282
 2017/5/15 エネファーム

281 2017/5/2 不明
測定したら、軽い低周波だとしても、絶え間なくあびてると、かなり健康に支障をきたす。現に、いままでそれほど、苦にならなかったちょっとした音、(車に乗ってるときの、走行音や、冷蔵庫の音など、そういう低周波に近い音に、相当過敏になり、音が苦痛に感じるようになった。)
数値が軽くても、重症になる場合も考慮してもらいたい。

280 2017/4/29 不明

279 2017/4/27 その他 施設
〇〇の交換所から交換機のファンが低周波の音源です。400m離れていますが、上記の騒音です。〇〇の交換所による低周波騒音があれば、情報を公開してください。

278 2017/4/27  工場 不明

277 2017/4/19 エコジョーズ エアコン その他
助けて下さい!
 
騒音に悩まされ、既に「これ以上はない」と言うほど、自衛策を講じていました。
それでもどうにもならず、最上階に転居したものの、低周波騒音があることに長い事気づかずに現在まで来ました。
 
部屋の石膏ボード壁・襖に一番響くので、他からの騒音と相まってドラム缶の中に居るような…そうなると、音源が自宅か他家からか区別がつかないことがあると家族げんかになります。
 
睡眠不足に体調不良、医者は低周波騒音を知らない。住宅外壁はボイド壁
隣部屋との界壁は120mm防音断熱材なしのスッカンポウ。ガラスサッシは防音でない
(
西側だけ防音ガラスになった。退去時に内装を新しくするので長く住んでいる人ほど古いままだから弱い部分に音が響く。業者談)
何の自衛策もしていない近隣から一方的に苦情を言われ四面楚歌もですが、対策がないので、ほとほと疲れます。


276 2017/4/18 その他 不明
低周波音は誰もが明確に聞き取れるものではないので(大家に聞きに来てもらったが分かってもらえなかった)、簡単に測定できるようになってほしい。
こちらの音は一日中するが、夜遅く1011時代に大きくなるような気がする(回りが静かになるからかもしれない)ので、そのような時間に家に来てもらいにくいなどという心配もある。迷惑音が分かってもらえなかったらどうしようという不安感も強いです。3年前の春・秋数ヶ月あった低周波音がこの4月にまた復帰しました。全く同じ音です。たぶん2階の冷蔵庫ではないかと思いますが。(私は4階最上階です)。単なる音というよりは振動音で、音は壁を伝って下から上に登る、たとえば冷蔵庫の背が壁にべたっと付いていたらそういうこともある、と大家(の親戚)が帰り際に言っていましたが、あまり人の家まで踏み込めないとも強調していました。相談機関が身近にあってほしい。貴サイトに感謝します。


275 2017/4/13 エコキュート
住宅密集地での 夜間の騒音の苦情をもっと厳格化すべき。機械を使用している人間のわずかな金銭の節約のためになぜ 生活を破壊されないとならないのか?

274 2017/4/10   ボイラー その他
どこに相談したらよいか解らない
 

273 2017/4/4 エコキュート  太陽光発電 不明

272 2017/3/31  不明
製品の機能試験で低周波測定を義務化し、それを発生させる機器などの生産・販売を停止して頂きたい。

271 2017/3/26   工場
低周波被害についての理解がないため 市役所は測定器の貸出もない。理解のある人に測定してほしい。工場の人がきて 何も聞こえないと言われた。低周波被害である場合は対策を義務化してほしい。
製品の機能試験で低周波測定を義務化し、それを発生させる機器などの生産・販売を停止して頂きたい。



被害者の声(アンケートより)
被害者の声1   被害者の声2   ・被害者の声3 被害者の声4
 ・被害者の声5 被害者の声6  ・被害者の声7被害者の声8
 ・ 被害者の声9 被害者の声10 被害者の声11被害者の声12
 ・被害者の声13被害者の声14 被害者の声15  被害者の声16
被害者の声17被害者の声18被害者の声19被害者の声20
被害者の声21被害者の声22

被害者の声22(アンケートより)

2017年3月24日現在、アンケート回答数は  270件です。
        アンケートはこちら



◆270 2017/3/24  エコジョーズ
ヒートポンプが原因と思われる耳の症状と不定愁訴(自律神経障害)があり生活に支障もでていますが、年齢的なこともあって更年期障害と周りには思われています。消費者庁、経済産業省、環境省は健康被害を把握していたり、調査していたり対応が見られますが、これだけ健康被害がでているのに、厚生労働省が調査、研究をしていないことはおかしいと思います。
厚生労働省が動いて因果関係をはっきりしてもらえれば、病院で低周波障害という疾患名をつけてもらえますし、治療、予防することができます。また、周りからの理解が得られてトラブルが軽減されるのではないかと思います。
私のこの症状が更年期症状であれば、男性、子供、若者、高齢者にはヒートポンプによる体調被害は出ないはずです。

◆269 2017/3/17 9:51 不明
低周波のでないものを開発及び使用規制をしてもらいたい

◆268  2017/3/17  エコジョーズ その他
被害者の声をきちんと聞いてほしい。身体に不調が来ない人には、理解できない問題ですが、あきらかに問題として存在しています。先ほど、返信した際に、書き忘れました。「調査希望」です。よろしくお願いいたします。家内、眠れないので、壊れてしまいそうです。
低周波のでないものを開発及び使用規制をしてもらいたい 

◆267  2017/3/12   エアコン  その他施設
音源は●●●の●●電話交換所  エアコン+建物内の送風機より出ています。●●県庁環境課より低周波騒音計を借りて、1ヶ月測定。
調査中のまま回答無し。●●市の環境課に相談するもの、低周波騒音の法律がないため、動けないの一言で終わり。

◆266  2017/3/11  エアコン

◆265 2017/3/6  エアコン  不明
自分が低周波被害かどうかは分かりませんが、車のアイドリングのような鈍い重低音に相当苦しんでおります。耳も頭も痛く、圧迫まで感じる振動音に生活もままなりません。原因は賃貸マンション隣家のエアコン室外機かと思われます。室外機なので発生時間にばらつきがあり、稼働は主に深夜の為、せっかく市役所から低周波測定に来て頂いても測定できず、管理会社に相談を続けても改善もないまま今に至ります。引っ越しもできず、どこへ相談すれば良いのか分からず途方にくれています。測定希望したいのですが、また測定出来ずだと来て頂くのも申し訳なく、まだ申し込む勇気がありません。このサイトをスマホで閲覧し、元気を貰っている状態です。

◆264 2017年2月28日  不明 
音源の特定に協力していただきたい。低周波高周波を理解されている方を自治体ないし相談窓口等に配置していただけると助かります。この問題に理解を示している方がいないのが現状です。国で研究者を育ててもらえると問題がはっきりしてくるのではないでしょうか。
因みに私の耳鼻科での聴力検査の結果は、10代20代の青年と同程度であるとのことでした。

◆263 2017年2月21日 "商業施設設備  その他
 役所に相談に行ってるが、深夜は計測出来ないので正確な低周波音被害の数値が分からない。弁護士に相談しているが、決定的な結果がないと話しにならないと言われて困っています。

◆262 2017年2月20日 その他
低周波音被害どうしたら良いのかわからない。

◆261 2017年2月17日 エコキュート
 静かに眠りたいだけ、心臓病と足の痛みと日々闘っている逃げ場のない88歳の母と66歳の私達は、3時間睡眠でフラフラなのに行政はなぜ対処してくれないのか、自分自身や身内が被害者になっても人事で済まされるのか、低所得だと何も出来ないもどかしさが悔しい、命を削っている日々です。


被害者の声(アンケートより)
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