この本については、以前、当ブログでも紹介したことがあります。このたび、著者の平家けい子さん(筆名)から、当会に本の寄贈がありましたので、ご希望の方にお送りします。連絡先はinfrasound@live.jp、送料込みで200円です。
この本は、化学物質過敏と電磁波過敏を混同している箇所や、科学用語に間違いが多々見られ、それが気になる方も当然いらっしゃるかと思います。アマゾンレビューでも書いていただいていますように、被害にあったのは80歳を超えてからですので、この点は大目にみていただき、風力発電や太陽光発電の低周波音や電磁波による健康被害がどのようなものか、また、これらの設備を地方自治体がどのようにして設置し、苦情に対してどのような対応をおこなったのか、体験記としてお読みいただければと思います。
平家さんは御年87歳。 最初の被害に遭ってから7年にわたり、転居を繰り返し、現在は中国地方の小都市に住まいを移し、山麓の静かな集落に居を構えていらっしゃいます。しかし、ここでも平穏な生活は長く続かず、電磁波に苦しみ、死と隣り合わせの生活を送っておられます。一方、幸いなことに、もともと気丈な方ですので、発明家としての活動は衰えず、今夏、特許がとれたという明るいお知らせもいただいています。現状を変えることは難しいですが、平家さんらしい日常を送れますよう、心から祈っています。
帯紙から 「健康で幸せだった人生が、突然暗転した―。再生可能エネルギーとして安心安全なイメージのある太陽光や風力、地熱などによる発電方法だが、運転時に発生する電磁波や低周波が人体に悪影響を及ぼすということは、あまり知られていない。市が設置した発電機によって健康を害した一人の女性が、その過酷な実態を告白する。」
「あの日から立った一人の闘いが始まった。次々と起きる体の異変に戸惑いながら、耐えられないほどの苦しみを抱えていかなければならなくなったのだ。医者に助けを求めても理解されず、治療法がないという現実。因果関係が認められないため補償も得られない。それでも、多くの人に現状を知ってもらうことで、未来への希望を捨てずにいたいと願っている。
著者プロフィール 1934年生まれ、東京都出身。日本作詞家協会会員、発明品制作など
久々にブログの更新です。長い間、更新をしていませんが、低周波音被害がなくなったのでもなく、解決が容易になったのでもありません。この間も、次々と被害は発生し、日常生活が乱されてしまった方が各地にいらっしゃいます。世界はCOVID-19に翻弄され、経済不安の他、COVID-19罹患後の後遺症やワクチン接種による体調不良など、新たな問題がおこり、低周波音問題はメディアに取り上げられることもほとんどありません。2014年から2017年に消費者庁事故調が省エネ給湯器の調査を行なったころがピークで、このころは、議会での一般質問もいくつかありました。また、自治体の広報などでも省エネ給湯器の低周波音について注意喚起がなされるようになり、一般市民にも、ある程度の理解は得られるようになりました。しかし、それでも、加害源の機器所有者が理解しようとしなければ、被害者には厳しい状況となり、交渉は進まず、今年もしかたなく転居を選択なさった方もいらっしゃいます。
昨日、鹿児島市在住の被害者の方(Aさん)から、ご連絡をいただきました。低周波音被害の症状の一つであるメニエル病のめまいと耳鳴りで、市に測定を求めるも捗らずにいましたが、市議さん(たてやま清隆氏)のご尽力で環境保全課の測定が実施されることになりました。さらに、低周波音被害に関して今まで市議会で質問が出されたことがないということで、「測定を希望する市民への支援」について質疑をしていただけることになったそうです。問題解決のためには、測定が必要となりますが、自治体の測定はなかなかすんなりとはしてもらえないのが現実です。Aさんは、ご自身の被害は解決がなかなか難しくなりそうだけれども、これから被害に遭って、お困りになる方に役にたてればとお知らせくださいました。議会の質問は生中継で視聴可能です。その後、4日程度(土、日、休日を除く)録画放映があるそうですので、ご覧になってください。
12月7日鹿児島市議会 インターネット議会中継 http://www.kagoshima-city.stream.jfit.co.jp/ 10時開始。7つの質疑のうち6番目だそうです。
省エネ給湯器は、これからも普及拡大していきます。省エネ給湯器は設置場所によっては、深刻で日常生活を脅かし、人生を変えてしまうような被害を引き起こします。まして、スーパーマーケット、病院、店舗などの業務用機器が住宅の直近に設置されれば、家庭用製品である省エネ給湯器以上に、大変な事態をまねいてしまいます。省エネ給湯器が消費者庁事故調の調査対象となり、その設置を巡って注意喚起がなされているのですから、業務用機器であれば、当然、設置場所をより慎重に考えなければなりません。ところが、当会に寄せられる相談をみても、各地で無謀な設置が行われています。建物の設計や機器の設置に携わる事業者の低周波音の危険性に対する認識不足を感じます。近隣住民とトラブルを起こさない建築を願いたいものです。
沖田さんの上申書には、発電所副所長の耳を疑うような発言が記されています。新1号機を海側にあった旧1号機跡に建設するのではなく、あえて民家に近い場所に発電所をなぜ建設したのかという沖田さんの疑問に対し、副所長は「海の方は遠いので、工事費用が高くなる」と答え、「(ジェット機が飛ぶような煩い)音は、発電所が原因ではない」とし、計測を求めても言い逃れ、そのうち面会も居留守を使われ続けたとあります。また、第1審の弁護士の裏切りともいえる行為についても触れられています。原告代理人は原告に不利な証拠を裁判所に提出し、期日を迎えても準備書面も書こうともせず、不信感をつのらせた沖田さんは、代理人を解任し、新たに弁護士を探さなければなりませんでした。このように沖田さんの闘いは困難を極め、途中で裁判を投げ出したくなるようなものでしたが、沖田さんは気丈にも、今まで闘いを継続してきました。騒音・低周波音など、環境公害の訴訟は難しく、この問題を受任する弁護士を見つけるのも一苦労で、それを精神力で闘ってこられた沖田さんに心から声援を送りたいと思います。
この被害は2018年5月に朝日新聞に掲載されましたので、ご一読ください。尚、公調委では申請人は4軒でしたが、控訴審は控訴人一人の闘いとなっています。
以下、工事中(9月16日・18日)
香りを楽しむ人は柔軟剤の染みついた洋服を身にまとい、香り成分をまき散らしながら、自由に行動するのですから、被害者の方たちは自衛が難しく、外出の制限など、生活に深刻な支障が出てしまいます。
一方、低周波音による被害は、給湯器が住宅に固定され、その被害現場は自宅に限定され、また、低周波音は人によっては感じないことも多いため、なかなか理解してもらいにくく、社会的関心が得づらいものです。一時期はステイホームで、不要不急の外出は控えるようにということでしたが、私たち被害者は、休息の場であるそのホームが地獄であって、被害者は自宅を離れるか、自宅で苦しみ悶えるかということになってしまいます。
被害者の中には、化学物質、低周波音両に過敏となり、2重の苦しみで、外出もままならず、地獄のような自宅で毎日を暮らしている方もいらっしゃいますが、その苦しみは想像するだけでも辛くなります(また電磁波にも過敏な3重の苦しみの方もいらっしゃいます)。
今年に入って、COVID-19が世界中に広がり、それから経済不安、雇用など、諸問題が発生していき、そういった混乱の中で低周波音問題はますます顧みられることなく、また、放置されていってしまうと感じていました。そんな中、毎日新聞社では、「異変のシグナル」という連載記事で、化学物質や低周波音等による健康被害を取り上げてくれました。この連載がより多くの人の目に触れ、これらの問題が知られることを願っています。
なお、当会にも取材依頼がありましたので、首都圏在住の被害者の方や法律、音響学、医学の専門家の方々を紹介させていただきました。
Author:swimmy