KRさん、その後

 前記事「留まるは苦痛、逃げるは苦労」で、KRさんのことを書いた。近々、高齢者施設に入居することになっていたKRさんに、事前の体験入居を勧めたところ、KRさんは娘さん家族とともに、確認のために施設を訪れた。娘さん家族は4人で、そのうち3人が低周波音に敏感である。今回の訪問では、KRさんを含めて4人が異常を感じた。前回の見学時には感じなかった低周波音をそれぞれ感じており、「何かあるはず」と周辺を探索したところ、近くの民家にエコキュートを発見した。
 施設は小高い丘にあり、周辺は1軒の民家を除いて野山と畑で、都会の喧騒から隔絶された場所にある。長年、都市部に住んできたKRさんは静謐な環境を求めて、この地を選んだのであろうが、このような場所にさえ、エコキュートは普及している。エコキュートから施設まで約30m。長期間の低周波音による暴露で非常に敏感になってしまったKRさんやご家族には、このような自然の中の環境でさえ、もう住むことができない。



 結局、KRさんは施設入居を諦めることになった。その失望感は半端ではなく、KRさんご主人は失意のあまり、不機嫌な毎日を過ごしていると聞いている。
 KRさんは、安全に暮らせる場所を求め、あれやこれやと検討し、やっと入居可能な施設を探しだした。そして、一室を確保して、あと1室の空きを心待ちにしていた。その気持ちを考えるとかける言葉も見つからない。入居した後で問題が発覚してはもっと大変なことになっていたと思うことで、これもまた受け止めざるを得ない。

 自然災害でもなく、単なる隣家のエコキュートによる被害で、自宅に住めず、難民となった悲劇である。






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留まるは苦痛。逃げるは苦労。―高齢者の低周波音被害―

 
  低周波音に敏感になってしまえば、「留まるは苦痛。逃げるも苦労」である。現代社会は住みづらく、低周波音被害者にとって、健康的な生活が送られる環境を探すのはそれほどたやすいことではない。

それは低周波音だけではなく、電磁波や化学物質の過敏症で苦しむ人々も同じであろう。私は化学物質に過敏というわけではないが、避難先の集合住宅にあるエレベーターで、強烈な残り香に辟易することがある。多分、たった一人の人間がエレベーターにいる僅かの時間に発散させたものだろうが、これほどまでの匂いが充満することに驚いてしまう。仕事帰りの女性か、あるいは、これから合コンなどで街へ出かけようとする女性か、それとも日常生活でこのような香りを常にまとっている女性か・・・。
  私の場合、嗅覚が刺激されるのが煩わしいという感じで、頭痛や吐き気こそないが、「よい香り」であろうと、それは私にはタバコと同じくらい「迷惑な臭い」である。エレベーター内で過ごす僅か10秒間ほどの間でも、この女性と同乗するならば、最上階まで階段を上る方を選ぶ。

「匂いが残るベストな柔軟剤の選び方」といったサイトまであるようで、とっさに私は「匂いが残らないベストな柔軟剤」の間違いではないかと思ってしまった。今の柔軟剤は本来の目的以外に衣類への香りづけが重視されているようで、「香水のような柔軟剤」というものまであるという。自分にとっての芳香が、過敏な人の健康を脅かして、喘息などの誘因にもなることを、消費者に知ってほしい。


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☆☆☆


   さて、本題であるが、当会発足前からの仲間であるエコキュート被害者、KRさんは、この1年ほどの間に2回の引っ越しをされた。短期間の度重なる転居の理由は、行く先々で低周波音に悩まされ、平穏な生活は得られなかったからである。近くにある大型商業施設では、症状が出て、買い物に行くこともできなくなり、ミニコープと宅配で用を済ませているという。
  2回目となった転居は80歳のKRさんには特に大きな負担となったようで、その後のKRさんの急激な変わりように皆言葉には出さないものの、心を痛めていた。KRさんも自覚されているのだろう、今度は高齢者施設を考え、やっと1室を確保したという。あと1室、空きがでればご夫婦で入所できる段階のようだ。ほっとされているKRさんには酷なことではあるが、施設入居後に問題が生じると事態はますます深刻になるので、まず入居の前に試験入居を勧めた。それは、次のようなことがあるからである。
 


建築ジャーナル2009年5月号 p12から
  ご主人がエコキュートによる被害で自死され、残されたJさんは高齢者住宅を検討されたが、結局、断念した。その理由は以下。

13より引用   ( )は管理人補足

・・・主人がなくなり、年金による収入が減りましたから、(エコキュートの)昼夜逆転運転の(電気代)差額負担に応じられず、(所有者に)元に戻してもらいました。高齢者マンションに移ろうとパンフレットを取り寄せましたが、ビジネスホテルのような長い間取りの上に、ポンプ室やエレベーター付近の部屋は「低周波騒音が出る可能性がある」と書かれています。 ・・・


★ 当会へのメールから
    介護付有料老人ホームで余生を送るはずが、辛い低周波音から絶望の日々を送っている方からのメールが届いた。この方は入居していた施設の設備機器から出る低周波音で体調を崩し、隣県の老人ホームに転出した。HNは「yoake」である。「夜明け」という言葉は本来、闇から脱出など、希望を感じさせるものだが、この方の場合は、毎日夜明けに目が覚め、また苦しい1日が始まるということから、「yoake」を名乗っておられるのだろう。なんとも辛いHNである。

メールより抜粋

 ・・・低周波音から逃れるため、〇〇県の海沿いに来ましたが、実はここの方がもっとひどく、大きいマンション型の老人ホームなので、発生源と思われる場所がたくさん散らばっており、特定できません。毎日、外出したりしています。明け方の症状がひどいことから、診療室の椅子で横になる許可をもらって凌いでいますが、こんな状態の「生」なら、ない方がましと考え、自殺を考えていたところ、このサイトに出会いました。・・・

★ 当会の相談会に訪れた被害者Aさんからの聞き取り。
  被害者のAさんは、ご自身が被害に遭う前に高齢者施設で設備管理に従事していた。一人の老婦人から深夜に「機械音がうるさい。眠れない。殺してほしい」と懇願されたという。当時、Aさんも施設職員も老婦人のいう「うるささ」がわからず、老婦人に手を焼いていたが、自身が低周波音被害に遭って初めて、それが低周波音による被害であったのではないかと考えが及んだ。

 以上のことから、高齢者施設は低周波音被害者にとって、安らかな生活を送ることが難しい場合もあり、施設入居を検討される場合は、十分に下見をして、また体験入居をしてから、決めていただきたいと思う。

☆☆☆

誰もが平穏に過ごせる生活を望んでいる。年齢に関係はなく、誰にとっても苦しみは苦しみで、被害はそれぞれの世代に大きな影響を及ぼしている。しかし、KRさんのような高齢の方が、長年の努力で積み上げてきた平穏な生活をいきなり隣家のエコキュートで壊され、苦しい日々を過ごされるのには心が痛む。加齢とともに健康を害することも多くなり、環境因子から生ずる体調不良は避けられるものなら避けて、余生をできるだけ安らかに送っていただきたいと願う。

  問題解決に時間がかかるうちに、被害者は確実に老いていく。そして、住み慣れた家に戻れる可能性は少なく、不安を抱きながら、終の棲家を探していかなければならない。KRさんの隣家のエコキュートが、KRさんをこのようにまで苦しめても、隣家は自分のエコキュートが大事で、節電にしか関心を持っていない。



 

横浜市にお住まいの低周波音被害者の方へ

日頃掲示板をご利用いただきありがとうございます。

NPOに頂きますお問合せメールを拝見していますと、何故か横浜市に在住の方の低周波音被害者様が複数いらっしゃいます。皆さん個々に横浜市に被害解決のお願いをされています。

NPOとして対個人へのアドバイスは引き続き行ってはいますが、せっかく被害者の方が近隣に集結されており、音源こそ違えど交渉相手となる自治体が同じ横浜市という自治体であることから、公開BBSを活用され、情報交換をされてはいかがでしょうか。

横浜市は低周波音被害を参照値で切り捨てる事例の多い自治体です。また、参照値を超えているほどの被害であっても、横浜市が「問題ない」と切り捨てた事例もご報告いただいています。

神奈川県内、他の自治体では家庭用給湯器による参照値以下の低周波音被害が機器撤去により解決できているという事実があります。
横浜市の低周波音被害が切り捨てられ続けているのはなぜでしょうか。

関西地方の自治体では、NPOに所属する同市在住の複数の被害者達が団結し交渉を行い、低周波音被害相談すらできなかった自治体を低周波音測定出来る自治体にまで変えた事例もあります。

まずは、公開BBSをご利用ください。

★NPO法人STOP!低周波音被害被害者交流BBS(β版)
http://nolfn.bbs.fc2.com/

★NPO法人STOP!低周波音被害被害者交流BBS(β版)--低周波音被害者【神奈川県の集い】
http://nolfn.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=9520058

(NPOの会員になりますと、非公開のBBSも利用できます)

「参照値」を下回っていたら低周波音被害は起きない?!

皆さんから頂いているメールやメッセージを拝見していますと…。
「低周波音」は今の日本には規制値がありません。
ただ、低周波音には被害があるかどうかの判断基準となる「参照値」というものが存在するだけです。

皆様が全国の自治体に対して低周波音被害を訴え、例えば低周波音を測定いただけたとして、この「参照値」を引き合いに、「参照値を下回っているので問題がない」と被害を切り捨てられてはいませんでしょうか??

この参照値は「基準値」ではありません。
環境省は、「参照値を基準値と混同しないように」という文章を各地方自治体に対し出しています。

http://www.env.go.jp/air/teishuha/H261226jimurenraku.pdf

消費者事故調査委員会のエコキュートの低周波音被害の報告書の中でも、地方自治体がきちんと対処すべき問題としています。

全国の各地方自治体の担当者の皆さん、参照値を下回っている低周波音でも健康被害は起きていて、参照値の低周波音被害に市の仲介し機器撤去に至った事例もあります。

自治体の皆さん、しっかり被害を解決してください。
被害者の皆さんも、諦めず、"地方自治体の当たり前の任務"を遂行してもらいましょう。



低周波音被害は「クレーム」ではなく、「製品事故」であり「公害問題」です。


「低周波音被害なんて初耳」「低周波音測定機器がない」「対応できない」という自治体の多い事…。
また、対策費用を被害者の方に払わせたり、「法的規制の範囲内」としらばっくれるメーカーの多い事…。
機器設置者もそれぞれで、低周波音被害自体を理解していない設置者も多いですよね。

被害者にとっては消費者事故調の調査報告書もあり、高崎エコキュート訴訟などの裁判での和解事例もできており、「解決されるべき問題」にほかならないのですが。

そもそもこの問題はれっきとした「製品事故」「公害」であり、国を始めメーカーや自治体が対応すべき問題であり、なのに対応しない者を説得できるほどの根拠も増えてきています。

個人としての解決交渉も大事ですが、今現在点在している被害者たちが集まり、集団となり解決への策を練っていく事も、根本的解決に向けては必須であると考えられます。

是非一緒に考え、情報を共有し、行動していきましょう。


低周波音被害に負けず、前に進みましょう!

NPOには毎日深刻な被害症状に苦しむ方々からの問い合わせメールが入っています。

事務局からのお返事を受け取られた方々、その後いかがでしょうか?

低周波音被害に気づき、解決への行動を起こそうとすると、「やるべきこと」が山積みになりますよね。

対設置者、対自治体、対メーカー、対消費者事故調査委員会…などなど。

被害に苦しむ中で、正直それらをこなしていくのはかなりしんどいと思います。

でも、解決(機器撤去!)できた会員は存在しますので、どうか希望は失わずに頑張っていきましょう(><)