エネファームの据付けガイドブック


 2009年5月に発売されたエネファーム。その据付ガイドブックが2016年6月、やっと公表されました。
その正式名称は「運転音に配慮した家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの据付けガイドブック」です。

 2014年3月、神戸市議会一般質問での環境局局長答弁の中で、大阪ガスの見解が次のように述べられました。
「初代機は平成21年から24年3月の間に5000台販売し、苦情は5件ある。現行機1万台の販売であるが、苦情はない。現行機はポンプ類、次世代機は換気ファンを低騒音型に改良している。」

 すなわち、大阪ガスによると、「被害(苦情)は初代機のみで、次世代機、現行機は改良しているため、被害はない。」
しかし、事故情報データバンクシステムには初代機のみならず、次世代機でも第三世代機でも事故情報はあり、エネファームを改良したところで、被害の発生は止まらず、被害を否定できなくなったために仕方なく、このようなガイドブックが作成されたのでしょうが、被害を防止する一つの手段として、設置場所に留意する必要があることを認めたも同然です。

 2014年、管理人は自治体がエネファーム普及推進に向けて補助金制度を設けるのなら、エコキュートと同様、エネファーム据付のためのガイドブックを作ることを自治体から販売会社に求めるよう、伝えました。そして、自治体から販売会社の「今、作成中です」という回答を聞き、ずっと管理人は公開を心待ちにしていましたが、待ちきれずに2015年12月に「FCCJ」燃料電池普及協会に、ガイドブックについて照会しました。その回答は次のとおりでした。

 「 1.当協議会では「家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの据え付けガイドブックを作成して
   おります。
  2.当協議義会は会員の企業・団体等が燃料電池に係る取り組みの協議・協調・協力を目的して自
   主的な活動を進めており、活動成果は原則会員間での共有に限定されています。このガイドブッ
   クも、会員が自らが活用する目的で作成されたものであり、会員以外、公開されておりません。
   た、ガイドブックの活用、取り扱いは会員企業に委ねられております。」 

 せっかくガイドブックは作成されながら、会員(事業者)での共有に限定され、会員以外には公開されず、活用には程遠いものでした。「会員以外、公開されていない」とありますように、燃料電池普及協会の正会員は9社で、販売会社と製造メーカーのみですから、実際に工事をする施工会社や設置業者には届くはずもありません。
 それから、半年たって、ようやくこのガイドブックが公表されましたが、それでもこのガイドブックを普及させようという意志は協会にはまったくないようで、燃料電池普及協会のサイトにひっそりと記載されているにすぎません。末端の施工会社や設置事業者に届くには、どれだけの時間がかかるのでしょうか。無責任な設置、近隣への配慮のない設置を避けようという気持ちはないのでしょうか。

 エコキュートの据付ガイドブックは2011年に公開されましたが、2014年12月の事故調報告書でも、このガイドブックの施工会社における認知度の低さが指摘され、日本冷凍空調工業会は2016年4月、このガイドブックの周知に努力しているようですが、エネファームはなぜ、エコキュート被害を教訓にしないのでしょう。おそらく、業者は「エネファームはエコキュートとは違います。エネファームは安全ですっ。」と、エネファーム被害に目を閉じ、ただでさえ、普及がもう一つのエネファームの購買意欲を低下させるようなことはしたくないのでしょう。

 下図のように、エネファームの無理な設置をすすめる無責任な行為を業者にさせないよう、販売会社は注意してほしいですね。このサイトには、「設置する場所が限られていたため、・・・ご主人様と何度も打ち合わせし、納得をしていただいた上で、無事に工事日を迎えた・・・」とあります。さて、隣家は窓から数十cmのような場所にエネファームを置かれて、納得しているのでしょうか。もし、これでガイドブックにあるような移設を隣家から求められても施主宅には移設する余裕はありませんし、業者は「ご主人様」にどのような対応をさせることになるのでしょうね。

enefarm.png
 

 肺癌の治療薬イレッサは、販売直後、重大な副作用で死亡例が続出し、裁判にもなりました。しかし、多数の犠牲の結果、この治療薬は安全な使用方法が確立され、肺癌治療に欠かせないものとなったようですが、犠牲を最小限に抑えるために、事前に慎重な治験と、問題が発生した時に速やかに原因追究を行うべきであったと思います。
 新技術というものは、実際に使用されなければわからない不具合というものはあるものです。エコキュート、エコウィル、エネファーム等、被害が発生したのなら、事業者は被害を否定するのではなく、被害の原因追究に全力を挙げ、安全な機器の開発を目指し、被害が起こりにくくするために設置条件等を施工会社に注意喚起すべきであったと思います。せめて犠牲者をこれ以上、増やさないよう事業者は早急に施工会社や消費者にガイドブックの周知を図ってほしいものです。

 「こんな場所にもエネファームは置けますよ」というような、上記の写真がネット上から一日も早く消えることを祈っています。



 

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エコキュート調査報告書が出て1年半。

「確かに所有者も被害者。しかし、加害者に転ずる場合も多い。」 

消費者庁消費者安全調査委員会が201412月に、エコキュート調査の報告書を公表し、もはや1年半となろうとしている。しかし、今も尚、エコキュート被害者の受難は続き、今年4月末、ついにある被害者は自宅を離れ、URで避難生活を始めた。昨年、調停が不調に終わり、高齢のご夫婦は50年間、住み続けたお宅を去ることになった。避難を決意するのに約1年かかったことからもその胸中が推し量れる。

また、ある被害者は、隣家エコキュートの低周波音で家に住めなくなり、避難したが、交渉はうまくいかず、数年が経った。しかし、避難先周辺に問題が生じ、自宅に戻るために中断していた交渉を再開した。交渉を経て漸くエコキュートの移設に至ったが、それでも被害は解消せず、今年2月、再び避難先を探し、家を出て行くことになった。元々、移設という手段に不安はあったが、所有者は撤去に応じず、とりあえず移設した上で段階的に様子を見るということで同意していた。しかし、懸念されたように被害は解消せず、さらに交渉が続いている。

   このように、解決は所有者の気持ち次第となりがちなこの問題であるが、自治体が介入することで被害が解決した例がある。以下は、ブログ「エコウィル騒音・低周波騒音被害」から管理人がまとめた。

"被害者(神奈川県在住)はエコウィルを所有する2軒の先住者の隣に、家を新築し、入居後数年をへて発症した。2013年、体調不良の原因を模索するなか、低周波音を疑い、市に相談した。市は即座に被害者宅で約1時間計測し、機器近傍と被害者宅室内の卓越周波数(突出する部分 丸枠は管理人記入)の一致を認めたため、エコウィルを加害源と断定する報告書を作成した。自治体は当初、低周波音の測定値が参照値以下であったこと、また隣家(設置者)や事業者が問題に比較的積極的姿勢であったことから、介入は行わなかったが、以後数か月経ってもなお交渉が難航している事態を知ると仲介の労をとった。すると事業者は態度を一変させ、市職員の立ち会いの下で当事者間の話し合いが行われ、その結果、2台のエコウィルは撤去され、その代わりにエコジョーズが設置されて、問題は解決した。"

 

エコウィルはエコキュートほどの販売台数はないものの、2003年に発売され、現在まで13年以上の販売期間がある。エコキュートがマスコミで取り上げられるのとは対照的に2013年はじめにはエコウィルの低周波音被害はネット上でも問題にされることはなく、ほとんど知られていなかった。
 当然、エコキュートと同様、事業者は「参照値未満」「法定基準の範囲内(低周波音にはそもそも法定基準がない)」「受忍限度内」であるとし、被害を主に「騒音」問題と捉え、認めようとはしなかった。しかし、自治体の仲介があったことと、それにより機器所有者が被害に理解を示すことになり、事業者も姿勢を変えることになったが、多くの場合、被害者と設置者の間には感情的なもつれが生じ、設置者の理解と協力は得られにくいものである。ゆえに、これは非常に稀な成功例となり、自治体が介入すれば、問題がごく簡単に円滑に解決することが示唆される貴重な例となった。住民間に感情的な問題が起こる前に、自治体が速やかに計測し、未だ社会的に認知度が極めて低い低周波音を、一般人にも理解しやすい資料とし、設置者に示したことが設置者の理解をもたらした。


 この例は「非常に稀」な事例であるが、それにはいくつかの要因があった。すなわち、市の報告書は解決を導くのに大きな役割を果たしたが、それは市職員が高度な測定技術力を有し、被害に対しての深い理解と、問題解決への熱意があったからである。
実はそれこそが「非常に稀」なことなのである。冒頭に述べたエコキュート被害2例も民民不介入で自治体は相談を受け付けなかったが、そんな自治体が多い。それでもしつこく交渉したり、市議の仲立ちによってうまく行けば、「都道府県には1台あるはずの」測定器を借りてもらって、計測が行われる場合もある。しかし、良いデータがとれないことが多く、参照値以下であると却下される例がほとんどすべてである。自治体の計測は、 ①auto計測ではなく手動計測で短時間である、②就業時間の関係で被害のない時間帯での計測になる、③周辺環境の暗騒音には無頓着、・・・などなど被害状況を正確に表しているとは言い難いものが多い。また、どれほど、環境省が参照値の取扱に注意を払うようにと通達しようと、現場の職員には届かず、「参照値以下で問題はなし」というような判断が確信を持ってなされている。



調停について


 ある被害者の方からメールがありました。この方は長年、隣家給湯器の点火音や運転音で生活が乱されており、苦情を隣家に伝えても誠意ある対応がなく、思い切って調停を申し立てました。しかし、「調停委員はまるで初回で申し立てを取り下げさせたいかのようでした」ということで、この方は「この調停委員では問題解決は望めない」と判断し、初回で調停を取り下げることになりました。良く似たことを他でも何件か聞いています。申立人と被申立人の間にたって話合いのサポートもせず、合意に導こうとする努力をしないで、簡単に「打ち切りましょうか」と仰る調停委員の方がいらっしゃるようで、一体何のための調停制度なのかと疑問に思っていました。

 それで、ふと思い出しました。いつごろだったか忘れてしまいましたが、以前、新聞記事で「調停の機能強化」という記事を読んだことがあります。それは大阪裁判所に関する記事で、当方には無関係と思ったために記憶が定かではなく、記事を探しましたが、見つかりませんでした。大阪簡裁に問い合わせると、特に「調停の機能強化」は大阪に限ったものではなく、各地でその取組がなされているということでした。検索で、次のような記事が見つかりましたたので、紹介します。

弁護士さんのお話しでは、残念ながら、民事調停の調停委員の資質は非常にばらつきが多く、どのような調停委員にあたるかは運次第ということですが、以下の記事では、理想的な調停が行われるよう尽力されている方もいらっしゃるようですので、このような調停が各地で普通一般に行われるよう期待したいです。



                    (2015年4月20日追加 関連記事http://www.oike-law.gr.jp/wp-content/uploads/oike40-11.pdf 2014年10月)

   
・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2014年9月13日 朝日新聞デジタルhttp://www.asahi.com/area/kyoto/articles/MTW20140916270150001.html

裁判官 正木 勝彦さん


 民事調停 解決法の一つ 

 今日は民事調停に関して少しお話をしようと思います。調停は、裁判と異なり、調停委員会が当事者の言い分や当事者から提出された資料などを基に一定の判断に基づいて当事者を説得するなどして、当事者から合意を引き出して紛争を解決する手続きです。調停委員会は、裁判官のほかに、原則2人の民間の有識者や各分野の専門家で構成しています。近頃当事者の権利意識が強く、譲歩して紛争を解決しようとする姿勢に乏しいこともあって、解決困難な事件が増えています。

 私たちは、円満解決を目指して全力を尽くしていますが、時には無力感に襲われたりします。しかし、困難な事件が円満解決すると、判決手続きではめったに味わえない充実感や喜びがあります。特に、調停が無事成立し、それまで対立していた当事者が笑顔で別れていく姿を見ると何か救われたような気分になります。

 私は、調停に直接出席し、当事者に語りかけ、時期を見て当事者を説得する役割を引き受けています。そんなとき、それまでかたくなであった当事者が軟化して解決の方向に動き出したりすると、裁判所に対する国民の信頼を感じ、責任の重さとともに裁判官としてのやりがいを感じます。

 ここ数年調停事件が減少傾向にあります。そこで、裁判所全体として調停制度の広報に努めるとともに、その調停機能の更なる強化のために、各分野の優秀な調停委員を確保して、その研修にも力を入れ、適正で合理性を持った解決に向けて効果的な調停の運営方法を検討するなど様々な取り組みをしています。

 我が国の調停は、裁判所の司法手続きの一環として行っているもので、世界的にも高い評価を受けています。紛争を抱えて困っている方は、解決方法として、ぜひ民事調停も検討していただきたいと思っています。

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「騒音制御工学会様へ」 2

3 日本騒音制御工学会への疑問
静の闘士様ブログ「騒音制御工学会様へ」には次のようにある。
 
「この事例を取り上げるのであれば、低周波音を未だに制御できていない現状とその周知が行われていない為に起こる争いであって、工学士として、慚愧に堪えない、そんな感想さえあってもよろしいのではないでしょうか。」と






 H氏は「煩音」を、音量がさほど大きくなくても、人間関係や心理状態によって煩く感じてしまう音のことであると定義している。騒音値が低く、「やかましい」とは感じられなくとも、機械からは低周波音が発生し、それによる深刻な被害に苦しむ人々が存在する。機器所有者である隣家にはなぜこんな音で苦情を言われるのかと納得できず、「やっかみ?クレーマー?」と苦情者をとらえがちになるが、これは苦情ではなく被害であり、れっきとした公害である。それを、この学会に所属する会員が、しかも専門家としてこの問題に積極的に関わっていく立場であるH氏までもが低周波音を煩音とし、心理的要因で事件を説明しようとすることは音の専門家と言えず、騒音被害や低周波音被害の周知に対しての妨害となる。また、事例2では、被告側のデータがねつ造であった可能性を指摘し、悪意を持った被害者がいることを示しており、H氏はどちらかというと被害者をまず疑え、と厳しい目を持っておられるように感じる。

 H氏のいう「近隣トラブル解決センター」を被害者としてはもちろん望むものであるが、正しい知識を持った専門家に被害相談にあたってほしい。H氏のような短絡的な考え方で介入されるのが一番厄介である。
騒音制御工学会には低周波音部会があるそうで、低周波音の研究と、正しい知識の普及に取り組んでいるはずであるが、H氏の陳腐な「解説」を、騒音制御工学会が特集の巻頭記事とした。静の闘士様の質問状に対し、日本騒音制御工学会の事務局の回答は、以下の通りだったようである。

 

http://lowfrequencysound.blog.fc2.com/blog-entry-23.htmlより
回答(6/26問い合わせの際電話口に出た方から)
「(質問状は)編集委員に渡しております。個々にお答えする所ではありませんので、回答は致しません。学会とは、いろいろな意見を言う場ですから、論文に対しまして、修正を求めることはしません。
 この特集にあたっては、学会員の中で、騒音トラブルに関して活躍されている方として(編集委員会は)選定したのだと思います。特にどこかに偏ったとかいう風には考えておりません。」

 (追加  この編集委員のうちのお二人は、INCエンジニアリング、三井住友建設勤務の方である。INCエンジニア
  リングは消費者庁消費者安全調査委員会の低周波音調査を請け負い、工学会副会長井上保雄氏が
  所属する)

  騒音について正しい認識がなされるように社会に働きかけるはずの音の専門家集団である騒音制御工学会がこのようなレベルの低い論文を学会誌に掲載していることに対して失望する。


4 N氏
N氏は日本に於ける超低周波音の重鎮とされている人で、 「扇風機からも超低周波音は出ている」「聞こえない低周波音で健康被害はない」と主張しているが、今年9月の騒音制御工学会の秋の発表会でも、 「『低周波音など問題はない』風力発電機やオスプレイの発生騒音」 という演題で発表する予定である。またN氏著作「何かおかしい 最近の『音』問題 [Kindle版] がアマゾンでも出ているようであるが、内容は以下からも想像できる。
http://www2.odn.ne.jp/~cai00050/nanikaokasii.pdf 

低周波数(20~100Hz)の音波を聴いて得られる感覚
 ・例えばボーとかブーンと大きく聞こえる音
   
 このように聞こえなければ低周波音ではない 
   
給湯器、冷蔵庫、扇風機、換気扇、プロペラ機のプロペラの音、風力発電機からは低周波音は発生しない
    同じレベルの音波でも 悪者にもなる 人の音

  ・ 一部住民がやかましいと言うので、工場の始業のサイレンを止めたら,多くの住民からなぜ止めたと苦情が
   出た
  ・ 有名高校近くに住む人が,息子がその学校に人学できるものと思い,学校の行事で出る音を好ましく思って
   いたが,人学試験に落ちてからは,その音をいちいちやかましいと学校に苫情を言うようになった。
  ・マンションの地下を通る地下貨物線の音がゴトゴトやかましいのでマンションを買い戻せと訴訟になった。  
       補償金として各戸に数百万円支払らわれた結果、その音は音楽?に変わり誰もやかましいと言わなくなった。 
    
 ・ 飲食店の隣家から、音がやかましくて眠れないと再三苦情がでたので、毎月付け届けを することにしたと
    ころ、 苦情はなくなった。
 
 以上のように、先ほどのH氏以上に低俗な主張をN氏もしているが、日本騒音制御工学会は低周波音問題を抑え込み、このような認識を広めていくつもりなのかと思われる。H氏のいう「誠意をもってお互いに話し合う」どころか、被害者は金目的のクレーマーと疑ってかかるようにと言っているようにとらえられる。



「騒音制御工学会様へ」  1

 高崎エコキュート裁判の原告のお1人、静の闘士様がブログ「ひとことつぶやき」で「騒音制御工学会様へ」という質問状をを公開されています。内容は学会誌「騒音制御2014年6月号」をお読みにならないとわかりにくいかとと思われましたので、静の闘士様が問題にされている「近隣騒音トラブルの現状と対処法」をこちらで紹介したいと思います。


1 「近隣騒音トラブルの現状と対処法」
 
騒音制御2014年6月号は「騒音トラブル解決のための考え方・取り組み方」が特集され、解説6編のうち、巻頭記事として八戸工業大学教授H氏による「近隣騒音トラブルの現状と対処法」が掲載されている。 

その要旨は
  ①  現代社会の近隣関係が希薄になったため、近隣住民の発する音が気になって仕方ない、不快なものに対する耐
       性が低下し、何かと苦情を言い立てる傾向が強くなり、近隣トラブルが増えている。 
  ②  騒音とは言えない程度の音を煩音と氏は名付け、そのような音には苦情者側の心理的な不安や孤独も大きく作
    用し、特に好感をもっていない相手に対しては、些細な音でも感情的に苦情を伝えてしまう。

 その例として
 風鈴を買って帰途にある隣人AさんにBさんは出会って声をかけたが、Aさんにそっけない態度をとられたことが不快な経験となり、風鈴の音を聞けば、Bさんはその時の感情を思い出して腹立たしくなり、我慢できずにAさんに風鈴の苦情をいうことになるとH氏は述べており、問題は苦情者側の心理にあるとする。

 風鈴の良さは短時間、適度な風で時折チリンと鳴るからこそ風流で、長時間にわたってチリンチリンと鳴り続ければ、どれほど良い音であろうと他人には迷惑なものであり、Bさんが単なるプライドを傷つけられたという安直な説明で済ませるものではない。風鈴は本人が煩いと思えば、片付けて終わりだが、近隣は苦情という形をとらないと音からは逃れることはできない。昔から、常識のある方は風鈴は夜は片づけるものとしてきたことをH氏はご存じないのかもしれない。
多忙な生活に追われる現代社会ではもちろん近隣関係の希薄化は否定できないし、避けられない。しかし、たとえ良好な近隣関係があってもその関係は脆いもので、たった一つの風鈴で壊れてしまうことにもなり、近隣への細かな配慮が必要となるが、それにはH氏は触れることはない。H氏の解説は苦情者側の心理面の問題を強調しており、苦情や被害を正しく認識しているとは思えないような解説に終始する。
 
2 エアコン60台

 またH
氏は事例として二つの裁判例を挙げており、その一つが敷地境界付近のエアコン60台にj関するものである。以下は記事の要約である。
高校が敷地境界付近に室外機60台ほど設置したところ、隣接する老夫婦から騒音苦情が発生した。騒音は条例の規制値を大きく超え、高校側は4度にわたり計1000万円ほどをかけて防音塀を設置した。老夫婦は満足せず、対策が不十分として更なる防音対策を要求したが、高校側は規制値を超えておらず、対策には応じないと突っぱねた。依然として規制値を超えていることを老夫婦は専門調査会社に依頼し、計測値を提示したが、高校は受忍限度内であると主張。室外機設置11年を経て提訴に至った。判決は原告勝訴。

H
氏主張
騒音対策は騒音トラブルの解決に全く役にたたなかった。防音工事のたびに高校側は被害者意識を募らせ、原告をクレーマーとし、双方が被害者意識を持つと言う矛盾を抱えた。騒音トラブルのほどんどは煩音問題であり、必要なのは騒音対策ではなく煩音対策である。
騒音対策は音量の低減、すなわち防音対策であるが、煩音問題の場合は、相手の誠意ある対応を通しての両者の関係が対策となる。これを煩音問題に対して防音対策を行なえば、かえってトラブルはエスカレートして、こじれてしまう。」
 














 
エアコン60台(実際は57台)の設置状況は次の図のようになる(判決文よりグーグルで作成)。高校エアコン  

 まず、これは厳然たる騒音問題で、低周波音問題の可能性も十分あり、煩音という問題では決してない。この原告の方たちの被害を現代社会の希薄な人間関係や、将来に対する不安や孤独といった原告の方の心理的不安に基づくものとするのはおよそ的外れである。
家庭生活のわずか数台のエアコンであろうと、エアコンは隣家からできるだけ離すようにという注意喚起を行う自治体もある。まして、このような大量の機器、しかも教室用の大型のものを敷地内側ではなく、民家側に設置することに何の疑問を持たない高校側とその設置を行った業者の行為の責任は大きい。学校は特定工場になるそうだが、なぜ、近隣への配慮がなされなかったのか、設置事業者の無責任な行為を感じる。
提訴するまで11年、そして係争期間を入れての十数年にわたるこの劣悪な環境に耐えたその補償額が一人10万円であり、訴訟費用は原告半額負担となったが、このようなトラブルに巻き込まれた原告の方が不運であったとしかいいようがない。トラブルを未然に防ぐために、エアコンを集中させるのではなく、校舎の周囲に分散させれば、近隣への迷惑は最小限に抑えられ、原告を長年のいわれなき苦痛に陥れることにはならなかった。学校という教育の現場が近隣への配慮をせず、このような「暴行行為」を長年にわたり継続していたことに驚く。
エアコンの夜間の稼働がなかったのが、不幸中の幸いであるが、撤去には至らなかったので、今後、原告の方が低周波音に敏感にならずに健やかな毎日を送られることを願う。判決については、また改めて紹介したい。
 

朗報

最近あいついで、メンバーの方より嬉しい報告がありました。

昨秋のエコウィル撤去にひきつづいて、4月にエコウィル、エコキュートとそれぞれ撤去され、エコジョーズと電気温水器に交換されました。

この2件には共通点があります。「距離がある」「見えにくい」ということから、音源に気付くことなく、長い期間、被害者の方は体調不良に苦しむことになりました。
でも、交渉の結果、事業者が被害に理解を示し、所有者を説得して問題機器の撤去に至りました。

高崎裁判では、誰が見ても非常識な位置に機器が置かれていましたが、それでも事業者も所有者も堂々と非がないことを主張しておりました。それを考えると随分、低周波恩被害者にとって状況は明るくなったことを感じます。

今、被害の真っただ中にある方々も希望を持って、交渉に臨まれることを願っています。


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低周波音のこと知っていますか?

高崎市は我が国で最初のエコキュート訴訟が行われた自治体ですが、被害者の方の熱意により、ようやく高崎市は低周波音被害を認め、低周波音への注意喚起が市HPでなされました。
「低周波音のこと知っていますか?」

市HPより一部紹介します。

「低周波音による問題

近年、風力発電施設からの低周波音による影響が問題となっていますが、静穏な住宅街の空調室外機や給湯機器等から発生する低周波音によって心身に係る影響を訴える苦情も増加しています。低周波音苦情は単にうるさくて迷惑しているというものではなく、眠れない、頭痛がするなどの切実な思いを訴えるものが多く、さらに機器設置後の低減対策なども難しいことから、住宅街で空調室外機や給湯機器等を設置する際は設置場所などへの配慮が必要です。知らないうちに私たち自身が低周波音苦情の発生源となってしまう可能性がありますので注意しましょう。」


関連記事 http://oto0.blog.fc2.com/blog-date-20140404.html