公害等調整委員会より


奈良県(調)第1号事件 平成261112日受付 平成27年3月13日調停打切り



請求の概要

申請人は、被申請人宅に設置された家庭用燃料電池設備から発生する騒音と、被申請人宅外壁に設置されたレンジフードの排気口及び24時間換気の排気口から発生する音が申請人宅の外壁、被申請人宅の外壁及び互いの軒に囲まれた空間において反響し増幅された騒音により、日常生活における不快感などの精神的苦痛を受けており、不安緊張状態や不眠を患った。よって、被申請人は、①家庭用燃料電池設備(燃料電池発電ユニット及び排熱利用給湯暖房ユニット)を現在設置している場所から、申請人宅に騒音の影響を及ぼさない場所へ移設すること、②レンジフードの排気口・24時間換気の排気口に騒音の影響を減じる措置を講ずること、③上記②の措置が困難な場合、申請人宅の窓に二重サッシを設置すること。



終結の概要

調停委員会は、2回の調停期日の開催等手続きを進めたが、合意が成立する見込みがないと判断し、調停を打ち切り、本件は終結した。

エネファームによる低周波音被害の未然防止 1-2

A様より2

既存住宅で、今までの給湯器との交換になります。

今までの経緯です。

    隣家より、「敷地境界の近くにエネファームを設置したいが、エネファームの背面が境界に接するようになる。詳しくは業者の方から説明するので聞いて欲しい。」との申し出あり。

    1週間ほどして、隣家より「エネファームの設置方法が通常どおり、壁に接する形で設置できることになった。」という報告。「業者が説明に来る件は?」と聞くと、(いまさら説明の必要は無いと思われたのか)「業者から挨拶に来させます。」ということでした。

    翌日、隣家を訪問し、数年前にエネファームの低周波騒音がニュースになったことと、訴訟が起こされたことを説明し、それが数年の間にメーカーは改良を加えているはずだから、当時と現在の発生音の測定結果比較のようなものが入手できないか、お願いしました。

    それから約2週間後、Tガス子会社が来訪。「低周波音問題はエコキュートで発生している問題で、エネファームでは問題になっていない、またエネファームに対して訴訟が起こされているのは光熱費に関するものだけで、低周波音に関するものは1件も無い」という返答。エネファームの設置場所を反対側(通りに面し、誰にも影響がない場所)にできないかという点については給湯器(給湯口)から7m以上離れるので、不可とのこと。

  ブログ
当会2
最近は、既築住宅でのエネファーム設置が増えています。今までの給湯器の設置場所にエネファームを置くと、長時間稼働するエネファームでは深刻な被害の発生につながります。今回は「逆向き」ということで、A様に事前連絡があったというのは、非常に幸運でした。エネファームは低周波音だけではなく、騒音も発生させますから、騒音と匂いでこの距離ではA様宅では窓も開けられなる恐れがあります。
資料は、①建築ジャーナル記事、②日経BP細野透氏記事、③奈良県公害審査会事例等があります。さらに④生活騒音に関する条例や、注意喚起が自治体にあります。たとえば、某自治体の場合、次のように記されています。 「・・・・・、家庭用給湯器等の家庭用機器は、早朝及び深夜の使用を控え、日常の手入れ定期点検を行い、特にルームエアコンディショナー室外機、家庭用給湯器等の設置場所は隣家からなるべく離し、場合によっては防音壁を設置する等近隣に配慮すること。 」

機器が設置されてしまえば、その機器の撤去には大変な労力が必要となります。エコキュートについての記事参考になさってください。

 

A様より3

エネファームの設置はキャンセルということで決着しました。

 

    Tガス子会社(及び隣家)に、当方より3つの資料を渡し、世間でエネファームの騒音が問題となっていることを説明。

Tガス子会社:「エネファームの騒音は測定結果により基準以内に収まっている」。コピーはもらえず。

    その後、隣家、Tガス子会社、Tガス(燃料電池事業推進部)と私の7名で話し合い。

    Tガスはエネファームの低周波騒音が世間で問題になっているという認識は持っていますか?」

Tガス:「認識は持っている。ただ建築ジャーナル記事にある3件について、その内の2件はO

スであり、残りの1件もTガスではない。なお、OガスはB社のエネファームだが、TガスはC社である。

    以前、子会社の方よりエネファームは昼間しか運転しないと聞いていたので、再確認。

Tガス:「夜でも動くことはある。運転モードで自動と手動があり、自動ではお客さんのお湯と電気の使

用時間等を学習し、最適な運転ができるようにする。共働きの家庭では夜に動くようになる。」

「今までTガス販売の3万台(?)の中で30件ほど、うるさいという連絡(苦情)が入っている。しかし

売店の方で運転モードを昼間に切り換えて対応し、Tガスまで届いていないものもあるので、実際

はもっと多いだろう。

    騒音測定値
無音饗室で測定したエネファームの周波数対音圧値のグラフを見せてもらった。(測定条件:750Wのフル発電時。測定場所は高さ1.2m、エネファームから1m離れた複数個所(正面や横など)50Hzにピークがあり環境省の参照値より数dB下回っている。Tガスより「実際に現地で測定した場合にはこの値より上回る。それは周囲の生活音などが加わるからです。」とのこと。 
※1
A様ご自身による補足。無音饗室では反射音が全く無いが、実際には地面や壁からの反射があり、低周波だと波長が長いため位相があまりずれずにそのまま加算されてしまう。反射時の減衰が殆ど無い場合には、地面からの反射で2倍、壁からの反射が加わると4倍になり、数デシベルの余裕は吹っ飛んでしまうことも考えられる。さらに前後の両側を壁で囲まれると距離と周波数によっては(壁の間で)共鳴することも考えられる。

    参照値について
Tガス「参照値は規格ではないが、現在存在する指針のようなものでメーカーはこれを満足させる
ように作っている。」。
当方:(欧州の規格と参照値を比較したグラフ(井坂法律事務所ブログに記載)を示し)、「参照値は環境
省が作成し、参照値を下回ったからといって(騒音苦情))切り捨ててはいけないと言っており、国
としても(参照値について)不十分と認識しているのでしょう。欧州の国々はこのように参照値よりも
厳しい基準を設けている。」

    キャンセル

話し合いの途中で隣家の方よりエネファーム設置のキャンセルの申し出がありました。これ以上話し合

いを続けても、結論を導き出すのは難しく時間が掛かるからとのこと。


エネファームによる低周波音被害の未然防止 1-1

2014年末の消費者庁事故調報告が公表され、次第にエコ機器の危険性が世間に知られるようになった影響からでしょうか、機器が設置される前に、あるいは機器がまだ使用されていない段階で、設置予定場所(あるいは給湯器の種類)を変更してもらうためには、どうすればよいかという相談が相次いでいます。

20155月末、A様よりご連絡がありました。A様宅居室から2m以内に隣家エネファームが設置されるということで、事業者・隣家との何度かの話し合いの席がもたれていましたが、その結果、エネファームの設置が見送られることになりました。

既存住宅での設置であったことで、A様が隣家の方々と良い近隣関係を築いていらっしゃったこともあると思われますが、何よりもA様が問題意識をお持ちになり、迅速にご自身で情報収集をなさったからこそ、被害を未然に防止することができたと思います。

一度設置されてしまえば、撤去や移設は困難となります。事業者の方々は無理な設置を行わないようにしてもらいたいものです。当会はこの問題が世間に周知されるよう、これからも一層の活動を行っていきます。

 以下、A様が詳しい経過報告をしてくださいましたので、お知らせいたします。A様、貴重なご報告をありがとうございました。

A様より

先日、隣家より拙宅との間にエネファームを設置したいとの申し出があり、事業者が説明に来ました。

年前に私はエネファームの低周波騒音に関する記事を目にしており、訴訟が起こされていたことについても不安を感じていました。Tガスは「エコキュートと勘違いしているのではないか。エネファームに対する訴訟は、光熱費が下がらないことに対するものだけで、低周波騒音に対するものは1件も無い。」と反論されました。もしエネファームの低周波騒音に対する訴訟の事例があれば、お教えいただけないでしょうか。

 

当会1

事前説明はTガスでは普通に行われていることなのでしょうか。今までの被害者は何の事前説明も受けていませんので、この事前説明の内容を教えていただければありがたく思います。

 

エネファームに対する 訴訟について

 エコキュートが販売開始された2001年直後よりエコキュートによる低周波音被害は発生していましたが、因果関係の立証が困難で、初期の被害者は泣き寝入りするしかありませんでした。そして、時間とともに同様な被害が各地で発生することにより、次第に社会的周知が進み、建築ジャーナル20095月号で取り上げられました。2011年になって初めて高崎市被害者が提訴し、それをきっかけに各地で提訴が続きました。ですから、訴訟という形をとるには販売開始から10年という年月が必要でした。
 エネファームは高額なこともあり、エコキュートよりも普及速度も遅く、2009年に販売されてまだ時間がたっていませんので、ADR
裁判外紛争解決手続)が明らかになったものはネット上ではまだほんの少しです。しかし、次第にこれから訴訟という形で現れてくるのではないかと思われます。この被害は社会的に知られることはありませんが、当会には被害者からの相談も相次いでいますし、消費者庁消費者安全調査委員会の調査対象にするかどうか現在、検討もなされています。被害は20129月号建築ジャーナルに掲載されております。

 

ADRについては、ネット上で公開されているものについては以下のようなものがあります。
★ エネファームによる被害で、奈良県公害審査会が申請を受理しています。
  
  奈良県家庭用燃料電池からの騒音被害防止請求事件 平成26.11.12平成26年(調)第1号事件


エネファーム被害者(兵庫県)がエネファーム所有者(隣家)に調停を申し立てられました。
 
11:1の調停 エネファーム・エコキュート・エコウィル


続く


神奈川県B市でのエコウィルの低周波音被害解決例

皆さまより寄せられたお問合せに対し、事務局からは「自治体との交渉を頑張ってください」という回答をしております。
低周波音被害に関する法規制が無いに等しい現状では、自治体の「姿勢」や「動き方」が被害の解決に非常に大きな影響を与える事、被害を解決するには自治体の適切な動きが不可欠である事が明らかです。

 自治体の仲介により、被害が解決に導かれた例をご案内いたします。エコウィル被害者のAさんは神奈川県B市に在住で、B市の対応は他自治体と一線を画す理想的なものでした。すなわち、B市は高度な技術をもって、音源確定を行い、その数値が参照値以下であろうと、被害の深刻さを認め、話し合いの席を設けました。そして、隣家の理解が得られ、事業者も隣家の求めに応じて、撤去という手段で被害は解消されることになりました。

 多くの自治体が低周波音について相談を受けたとしても、民民不介入として相談には乗らず、さらに「計測器はない」、「高額な機械は買えない」などという,ただの言い逃れにすぎない対応をとられることも珍しくありません。低周波音被害は世間にはほとんど知られておらず、所有者にとっても寝耳に水のような苦情をいきなり、隣家(被害者)から訴えられることになります。所有者はわけのわからないことで苦情を言われたということで、感情を悪化させてしまうことになります。そのような中で、自治体が計測を行い、計測結果をもって音源確定をすることにより、被害が単なる言いがかりではないことが証明されれば、このことが所有者との後々の交渉に非常に大きな意味を持ってきます。

 同じ日本国内、同じ法の下、どの低周波音被害者もB市と同じ対応を、居住する自治体に求めることができるはずです。民民不介入を盾にこの問題に背を向ける自治体に測定を求めることは、それだけでも労力の要るものですが、ぜひ、自治体の協力を得るよう、頑張ってみてください。あなた自身のためにも、そして、あなたの後に続く方たちのためにも。それが、これからの私たちの住環境を低周波音より守ることにつながるかと思います。

 Aさんは、被害解決時に情報公開に制限を設ける覚書を当事者間で取り交わしており、Aさんは詳細を語ることはできません。したがって、事務局が、Aさんのブログより情報をピックアップして整理し、エコウィルが撤去された経緯をお伝えします。皆様の参考になればと思います(残念ながら、ブログに載せられない非公開の重要情報もあります)。

【被害が起こるまでの状況】
  ・エコウィルの設置されているのは隣家2軒。被害者宅との敷地境界線上。
  ・被害者は設置者宅が家を建てエコウィルを稼働させている状態で土地を購入、住宅を建築し居住。
  ・住み始めてから3年目、エコウィルの発電エンジンが稼働中のみ耳の圧迫感、吐き気、めまいと言った低周
    波音による健康被害が現れ、またそれが低周波音による被害である事に気付く。

【設置者、東京ガス、隣家施工会社との交渉
  ・「製品事故」として隣家に責任を求めずメーカーへの仲介を頼みはじめる
  ・隣家施工会社に被害の現状を報告
  ・ライフバル、東京ガスへの対応交渉
  ・東京ガスによるエコウィルの発電エンジンユニットへの「騒音軽減工事」→低周波音には効果なし

【地方自治体への相談】
  ・地方自治体への低周波音測定依頼(即時対応・低周波音測定日時の決定)

【地方自治体による低周波音の測定】

  ・就業時間外(早朝)のエコウィルの低周波音測定
   →(A)屋外での騒音測定
   →(B)居室内、2箇所(低周波音を強く感じるところ、そうでもないところ)での低周波音測定

【地方自治体による低周波音源の特定】
  ・居室内にて低周波音(参照値以下)の測定に成功
  ・測定値の(A)(B)値の波動に同期が見られる事から、被害者居室内で測定された低周波音は、隣家設置の
   エコウィルであると断定。
  ・被害者が「被害を強く感じるところ」の低周波音が「そうでもない所」よりも強く表れていることから、被害者の
   証言と一致

【地方自治体による低周波音被害の調査報告書の作成・被害者への通知】

  ・測定された低周波音に関する調査報告書(PDF)並びに騒音測定データ(CSV)を被害者に通知
   http://blog.livedoor.jp/egowill/archives/25897223.html
   http://blog.livedoor.jp/egowill/archives/29811590.html

【被害者による設置者・東京ガスへの対応交渉】
  ・市が低周波音源としてエコウィルを断定してくれた事、また理解しやすい報告書を作成してくれた事で、交渉が
    スムーズに。(報告書のおかげで、エコウィル所有者『隣家』に十分な理解を求めることが可能になり、所有者の
   協力が得られる。事業者も態度を一変させることになった)

【被害者による地方自治体への交渉】
  ・地方自治体は「参照値以下なので問題への介入は出来ない」とする
  ・「低周波音の参照値を基準値のように誤用してはいけない」「地方自治体が低周波音被害に対応すべき」根拠
   となる資料(資料★)をもとに、さらなる対応交渉

【地方自治体による仲介の実現】
  ・市役所内にて、市召集の、市の担当職員、設置者、東京ガス、設置者施工会社、被害者の会議の開催が決定
   (中立な立場の自治体が仲介することで、事業者も所有者も真剣に被害に向き合うことになる)

【エコウィルの低周波音被害の根本的解決】

  ・エコウィル撤去決定
  ・撤去工事
  ・低周波音による健康被害軽減
   (エコウィル撤去後約1年は身の回りの低周波音に耳の圧迫感などの症状が現れてしまう症状が続きましたが、
   その後徐々に症状が軽減しています。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(資料★)
 1:騒音制御Vol.30 No.1(2006)低周波音問題への行政の対応方法 沖山文敏(元川崎市環境局公害部部長・環
   境省低周波音対策検討委員会 検討委員)
  「公害の苦情処理については、公害紛争処理法第49条に定められており、苦情の解決は苦情者が納得すること
    をいい、法的規制がないとか基準値以下だからという理由で苦情対応を拒否してはならないとされている。低レ
   ベルの低周波音問題はまさにこの典型事例である。」
  (補注)このため各地方公共団体は連携して環境省に、この種の対応方法についての示唆を要請していたところ、
       この度環境省から「低周波音問題対応の手引書」が示された。
 2:騒音制御Vol.30No.1(2006)低周波音問題対応の手引書作成の経緯・構成 藤本正典et al.(環境省)
  「低周波音苦情への対応は、騒音や振動等の苦情への対応と同様に地方公共団体職員の責務となっている。」
  「地方公共団体職員の多くは、・・・苦情対応に苦慮しているところである。」
  「そこで環境省は、地方公共団体職員の学識経験者等から構成される低周波音対策検討委員会を設置し、その
   検討結果を「低周波音問題対応の手引書」として公表することになった。」
 3:環境技術 Vol.32 No.2(2003)低周波音の実態と展望  
   瀬林伝(前神戸市環境局・環境省低周波音対策検討委員会検討委員)
   「統一化された測定法による的確な実態把握が低周波音対策の推進の第一歩となるのではなかろうか。」
 4:低周波音対策検討委員会 検討委員名簿
 5:低周波音測定評価講習会資料(環境省作成)
 6:寄稿 松戸市における家庭用ヒートポンプ給湯機の騒音・低周波音・振動測定事例について
  (補注)千葉県松戸市で、エコキュートの低周波音被害問題に松戸市が低周波音計測を行い、民民の問題にも
       介入・解決した事例です。
   別添・経過  (松戸市環境保全課桑原厚)  総務省機関紙「ちょうせい」第67号
 7:大阪府 (低周波音被害への府の対応)府民の声と府の考え方(参照値)12
 8:【環境省】低周波音問題対応の手引き書における参照値の取扱について(平成20年4月17日)
   →参照値を「基準値」のように"誤用"してはいけない、という資料です。
     ※上記資料はAさんが交渉時に使用したものです。現時点においては、以下のものも有益な資料となります。

 *1: 消費者事故調査委員会のエコキュートの低周波音被害に関する調査報告書
      (概要) (意見) (本文)
 *2* 低周波音問題対応の手引書における参照値の取扱の再周知について
      上記8の環境省の資料について、消費者事故調査委員会の調査報告書をもとに再周知がなされました。