日本騒音制御工学会 参加報告

 日本騒音制御工学会の春季講演発表会が4月21日に行われ、当会の関係者3名がこの発表会に参加しました。

 この発表会の低周波音分科会で、事故調報告書(2014年12月公表)についての講演が行われました。事故調報告書は参照値以下の低周波音で健康影響があるとの報告ですから、参照値策定に関わったこの学会の古参の方々がどのように受け止められたのかが、非常に関心のあるところでありました。

 この講演は、低周波音分科会の招待講演として「家庭用ヒートポンプ給湯器から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申し出案件-消費者安全調査委員会報告書の概要」の演題で、松本浩司氏(事故調、国民生活センター)により発表されました。
 講演後の質疑で、当会メンバーも質問しましたが、山田伸志氏(山梨大学名誉教授、騒音SOS理事)が「私の経験からすると、苦情源は他にあるのではないか」と、また、ある方は「心理学の立場からすると、機械を目にするだけで症状が出る人もいる。」と、予想通り、懐疑的な意見が出ました。

 その後、中野有朋氏(「あの音が私を苦しめる!?」著者)がご自身の発表(「騒音レベルによる低周波音の評価方法と評価例」「衝撃音と衝撃超低周波音」)を2件続けて行い、その中で中野氏は事故調報告が間違いであるとエコキュート被害を否定しました。それに対し、高崎裁判原告の清水氏(事故調事案申出者)は松本氏に再び説明を求め、松本氏から「被害を認めざるを得ない」という答えを受けて、清水氏が中野氏にエコキュート被害を否定する根拠を尋ねました。その中野氏の説明に対し、松井利仁氏(北大教授)が批判的な意見を述べられ、岡田健氏も「生理学的な症状には(中野氏の)騒音のA特性やC特性など重みづけをしたものでは評価できない。」と仰って、次の演題に続きました。 

 週刊金曜日記事「電磁波問題に予防原則を――欧州環境庁が警告」に次のような一節があります。
「『害証拠がない』という研究結果は、単に研究が不足しているだけなのに、『害ない証拠』として利用されてきた。・・・・・被害を防ぐには、因果関係が完全に立証されるのを待つのではなく、科学的な不確かさや無知の存在を認め、予防原則に則った対策が必要だ。」

 欧州環境庁が警告しているように、因果関係の立証が困難な場合は、科学者自らが「科学的不確かさや無知の存在を認めて」、行政に対策をとるよう提言すべきものです。しかし、学会の古参の方々は「害のない証拠」を熱心に集めて、40年という長い間、低周波音被害を否定するのに躍起となってこられたように思われます。被害者の訴えに向き合わず、ただ被害を否定し、否定するためだけに低周波音の測定・評価等を検討しようとしている方は単なる経済界や行政の従僕。

   科学者としての在り方を松井氏がお話しになって、また、岡田氏が「騒音制御工学会は、実際の問題を扱いましょう、苦しんでいる人を助けましょう。」と語り、それが心に響いた方々も、当会メンバー以外に会場にはきっといらしゃったことと思います。

 被害が実際にあるということは、その原因となるものが絶対に存在し、「聞こえない低周波音で健康影響はない」などという学会の俗説を覆す時が必ずくるはずです。脳脊髄液減少症で「脳脊髄液が漏出するはずがない」という学会の定説を画像診断が覆したように、鮮やかな手法で低周波音と健康影響との因果関係が示されることに期待したいと思います。



スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する