神奈川県B市でのエコウィルの低周波音被害解決例

皆さまより寄せられたお問合せに対し、事務局からは「自治体との交渉を頑張ってください」という回答をしております。
低周波音被害に関する法規制が無いに等しい現状では、自治体の「姿勢」や「動き方」が被害の解決に非常に大きな影響を与える事、被害を解決するには自治体の適切な動きが不可欠である事が明らかです。

 自治体の仲介により、被害が解決に導かれた例をご案内いたします。エコウィル被害者のAさんは神奈川県B市に在住で、B市の対応は他自治体と一線を画す理想的なものでした。すなわち、B市は高度な技術をもって、音源確定を行い、その数値が参照値以下であろうと、被害の深刻さを認め、話し合いの席を設けました。そして、隣家の理解が得られ、事業者も隣家の求めに応じて、撤去という手段で被害は解消されることになりました。

 多くの自治体が低周波音について相談を受けたとしても、民民不介入として相談には乗らず、さらに「計測器はない」、「高額な機械は買えない」などという,ただの言い逃れにすぎない対応をとられることも珍しくありません。低周波音被害は世間にはほとんど知られておらず、所有者にとっても寝耳に水のような苦情をいきなり、隣家(被害者)から訴えられることになります。所有者はわけのわからないことで苦情を言われたということで、感情を悪化させてしまうことになります。そのような中で、自治体が計測を行い、計測結果をもって音源確定をすることにより、被害が単なる言いがかりではないことが証明されれば、このことが所有者との後々の交渉に非常に大きな意味を持ってきます。

 同じ日本国内、同じ法の下、どの低周波音被害者もB市と同じ対応を、居住する自治体に求めることができるはずです。民民不介入を盾にこの問題に背を向ける自治体に測定を求めることは、それだけでも労力の要るものですが、ぜひ、自治体の協力を得るよう、頑張ってみてください。あなた自身のためにも、そして、あなたの後に続く方たちのためにも。それが、これからの私たちの住環境を低周波音より守ることにつながるかと思います。

 Aさんは、被害解決時に情報公開に制限を設ける覚書を当事者間で取り交わしており、Aさんは詳細を語ることはできません。したがって、事務局が、Aさんのブログより情報をピックアップして整理し、エコウィルが撤去された経緯をお伝えします。皆様の参考になればと思います(残念ながら、ブログに載せられない非公開の重要情報もあります)。

【被害が起こるまでの状況】
  ・エコウィルの設置されているのは隣家2軒。被害者宅との敷地境界線上。
  ・被害者は設置者宅が家を建てエコウィルを稼働させている状態で土地を購入、住宅を建築し居住。
  ・住み始めてから3年目、エコウィルの発電エンジンが稼働中のみ耳の圧迫感、吐き気、めまいと言った低周
    波音による健康被害が現れ、またそれが低周波音による被害である事に気付く。

【設置者、東京ガス、隣家施工会社との交渉
  ・「製品事故」として隣家に責任を求めずメーカーへの仲介を頼みはじめる
  ・隣家施工会社に被害の現状を報告
  ・ライフバル、東京ガスへの対応交渉
  ・東京ガスによるエコウィルの発電エンジンユニットへの「騒音軽減工事」→低周波音には効果なし

【地方自治体への相談】
  ・地方自治体への低周波音測定依頼(即時対応・低周波音測定日時の決定)

【地方自治体による低周波音の測定】

  ・就業時間外(早朝)のエコウィルの低周波音測定
   →(A)屋外での騒音測定
   →(B)居室内、2箇所(低周波音を強く感じるところ、そうでもないところ)での低周波音測定

【地方自治体による低周波音源の特定】
  ・居室内にて低周波音(参照値以下)の測定に成功
  ・測定値の(A)(B)値の波動に同期が見られる事から、被害者居室内で測定された低周波音は、隣家設置の
   エコウィルであると断定。
  ・被害者が「被害を強く感じるところ」の低周波音が「そうでもない所」よりも強く表れていることから、被害者の
   証言と一致

【地方自治体による低周波音被害の調査報告書の作成・被害者への通知】

  ・測定された低周波音に関する調査報告書(PDF)並びに騒音測定データ(CSV)を被害者に通知
   http://blog.livedoor.jp/egowill/archives/25897223.html
   http://blog.livedoor.jp/egowill/archives/29811590.html

【被害者による設置者・東京ガスへの対応交渉】
  ・市が低周波音源としてエコウィルを断定してくれた事、また理解しやすい報告書を作成してくれた事で、交渉が
    スムーズに。(報告書のおかげで、エコウィル所有者『隣家』に十分な理解を求めることが可能になり、所有者の
   協力が得られる。事業者も態度を一変させることになった)

【被害者による地方自治体への交渉】
  ・地方自治体は「参照値以下なので問題への介入は出来ない」とする
  ・「低周波音の参照値を基準値のように誤用してはいけない」「地方自治体が低周波音被害に対応すべき」根拠
   となる資料(資料★)をもとに、さらなる対応交渉

【地方自治体による仲介の実現】
  ・市役所内にて、市召集の、市の担当職員、設置者、東京ガス、設置者施工会社、被害者の会議の開催が決定
   (中立な立場の自治体が仲介することで、事業者も所有者も真剣に被害に向き合うことになる)

【エコウィルの低周波音被害の根本的解決】

  ・エコウィル撤去決定
  ・撤去工事
  ・低周波音による健康被害軽減
   (エコウィル撤去後約1年は身の回りの低周波音に耳の圧迫感などの症状が現れてしまう症状が続きましたが、
   その後徐々に症状が軽減しています。)

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(資料★)
 1:騒音制御Vol.30 No.1(2006)低周波音問題への行政の対応方法 沖山文敏(元川崎市環境局公害部部長・環
   境省低周波音対策検討委員会 検討委員)
  「公害の苦情処理については、公害紛争処理法第49条に定められており、苦情の解決は苦情者が納得すること
    をいい、法的規制がないとか基準値以下だからという理由で苦情対応を拒否してはならないとされている。低レ
   ベルの低周波音問題はまさにこの典型事例である。」
  (補注)このため各地方公共団体は連携して環境省に、この種の対応方法についての示唆を要請していたところ、
       この度環境省から「低周波音問題対応の手引書」が示された。
 2:騒音制御Vol.30No.1(2006)低周波音問題対応の手引書作成の経緯・構成 藤本正典et al.(環境省)
  「低周波音苦情への対応は、騒音や振動等の苦情への対応と同様に地方公共団体職員の責務となっている。」
  「地方公共団体職員の多くは、・・・苦情対応に苦慮しているところである。」
  「そこで環境省は、地方公共団体職員の学識経験者等から構成される低周波音対策検討委員会を設置し、その
   検討結果を「低周波音問題対応の手引書」として公表することになった。」
 3:環境技術 Vol.32 No.2(2003)低周波音の実態と展望  
   瀬林伝(前神戸市環境局・環境省低周波音対策検討委員会検討委員)
   「統一化された測定法による的確な実態把握が低周波音対策の推進の第一歩となるのではなかろうか。」
 4:低周波音対策検討委員会 検討委員名簿
 5:低周波音測定評価講習会資料(環境省作成)
 6:寄稿 松戸市における家庭用ヒートポンプ給湯機の騒音・低周波音・振動測定事例について
  (補注)千葉県松戸市で、エコキュートの低周波音被害問題に松戸市が低周波音計測を行い、民民の問題にも
       介入・解決した事例です。
   別添・経過  (松戸市環境保全課桑原厚)  総務省機関紙「ちょうせい」第67号
 7:大阪府 (低周波音被害への府の対応)府民の声と府の考え方(参照値)12
 8:【環境省】低周波音問題対応の手引き書における参照値の取扱について(平成20年4月17日)
   →参照値を「基準値」のように"誤用"してはいけない、という資料です。
     ※上記資料はAさんが交渉時に使用したものです。現時点においては、以下のものも有益な資料となります。

 *1: 消費者事故調査委員会のエコキュートの低周波音被害に関する調査報告書
      (概要) (意見) (本文)
 *2* 低周波音問題対応の手引書における参照値の取扱の再周知について
      上記8の環境省の資料について、消費者事故調査委員会の調査報告書をもとに再周知がなされました。


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