エコキュート調査報告書が出て1年半。

「確かに所有者も被害者。しかし、加害者に転ずる場合も多い。」 

消費者庁消費者安全調査委員会が201412月に、エコキュート調査の報告書を公表し、もはや1年半となろうとしている。しかし、今も尚、エコキュート被害者の受難は続き、今年4月末、ついにある被害者は自宅を離れ、URで避難生活を始めた。昨年、調停が不調に終わり、高齢のご夫婦は50年間、住み続けたお宅を去ることになった。避難を決意するのに約1年かかったことからもその胸中が推し量れる。

また、ある被害者は、隣家エコキュートの低周波音で家に住めなくなり、避難したが、交渉はうまくいかず、数年が経った。しかし、避難先周辺に問題が生じ、自宅に戻るために中断していた交渉を再開した。交渉を経て漸くエコキュートの移設に至ったが、それでも被害は解消せず、今年2月、再び避難先を探し、家を出て行くことになった。元々、移設という手段に不安はあったが、所有者は撤去に応じず、とりあえず移設した上で段階的に様子を見るということで同意していた。しかし、懸念されたように被害は解消せず、さらに交渉が続いている。

   このように、解決は所有者の気持ち次第となりがちなこの問題であるが、自治体が介入することで被害が解決した例がある。以下は、ブログ「エコウィル騒音・低周波騒音被害」から管理人がまとめた。

"被害者(神奈川県在住)はエコウィルを所有する2軒の先住者の隣に、家を新築し、入居後数年をへて発症した。2013年、体調不良の原因を模索するなか、低周波音を疑い、市に相談した。市は即座に被害者宅で約1時間計測し、機器近傍と被害者宅室内の卓越周波数(突出する部分 丸枠は管理人記入)の一致を認めたため、エコウィルを加害源と断定する報告書を作成した。自治体は当初、低周波音の測定値が参照値以下であったこと、また隣家(設置者)や事業者が問題に比較的積極的姿勢であったことから、介入は行わなかったが、以後数か月経ってもなお交渉が難航している事態を知ると仲介の労をとった。すると事業者は態度を一変させ、市職員の立ち会いの下で当事者間の話し合いが行われ、その結果、2台のエコウィルは撤去され、その代わりにエコジョーズが設置されて、問題は解決した。"

 

エコウィルはエコキュートほどの販売台数はないものの、2003年に発売され、現在まで13年以上の販売期間がある。エコキュートがマスコミで取り上げられるのとは対照的に2013年はじめにはエコウィルの低周波音被害はネット上でも問題にされることはなく、ほとんど知られていなかった。
 当然、エコキュートと同様、事業者は「参照値未満」「法定基準の範囲内(低周波音にはそもそも法定基準がない)」「受忍限度内」であるとし、被害を主に「騒音」問題と捉え、認めようとはしなかった。しかし、自治体の仲介があったことと、それにより機器所有者が被害に理解を示すことになり、事業者も姿勢を変えることになったが、多くの場合、被害者と設置者の間には感情的なもつれが生じ、設置者の理解と協力は得られにくいものである。ゆえに、これは非常に稀な成功例となり、自治体が介入すれば、問題がごく簡単に円滑に解決することが示唆される貴重な例となった。住民間に感情的な問題が起こる前に、自治体が速やかに計測し、未だ社会的に認知度が極めて低い低周波音を、一般人にも理解しやすい資料とし、設置者に示したことが設置者の理解をもたらした。


 この例は「非常に稀」な事例であるが、それにはいくつかの要因があった。すなわち、市の報告書は解決を導くのに大きな役割を果たしたが、それは市職員が高度な測定技術力を有し、被害に対しての深い理解と、問題解決への熱意があったからである。
実はそれこそが「非常に稀」なことなのである。冒頭に述べたエコキュート被害2例も民民不介入で自治体は相談を受け付けなかったが、そんな自治体が多い。それでもしつこく交渉したり、市議の仲立ちによってうまく行けば、「都道府県には1台あるはずの」測定器を借りてもらって、計測が行われる場合もある。しかし、良いデータがとれないことが多く、参照値以下であると却下される例がほとんどすべてである。自治体の計測は、 ①auto計測ではなく手動計測で短時間である、②就業時間の関係で被害のない時間帯での計測になる、③周辺環境の暗騒音には無頓着、・・・などなど被害状況を正確に表しているとは言い難いものが多い。また、どれほど、環境省が参照値の取扱に注意を払うようにと通達しようと、現場の職員には届かず、「参照値以下で問題はなし」というような判断が確信を持ってなされている。



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