「騒音制御工学会様へ」  1

 高崎エコキュート裁判の原告のお1人、静の闘士様がブログ「ひとことつぶやき」で「騒音制御工学会様へ」という質問状をを公開されています。内容は学会誌「騒音制御2014年6月号」をお読みにならないとわかりにくいかとと思われましたので、静の闘士様が問題にされている「近隣騒音トラブルの現状と対処法」をこちらで紹介したいと思います。


1 「近隣騒音トラブルの現状と対処法」
 
騒音制御2014年6月号は「騒音トラブル解決のための考え方・取り組み方」が特集され、解説6編のうち、巻頭記事として八戸工業大学教授H氏による「近隣騒音トラブルの現状と対処法」が掲載されている。 

その要旨は
  ①  現代社会の近隣関係が希薄になったため、近隣住民の発する音が気になって仕方ない、不快なものに対する耐
       性が低下し、何かと苦情を言い立てる傾向が強くなり、近隣トラブルが増えている。 
  ②  騒音とは言えない程度の音を煩音と氏は名付け、そのような音には苦情者側の心理的な不安や孤独も大きく作
    用し、特に好感をもっていない相手に対しては、些細な音でも感情的に苦情を伝えてしまう。

 その例として
 風鈴を買って帰途にある隣人AさんにBさんは出会って声をかけたが、Aさんにそっけない態度をとられたことが不快な経験となり、風鈴の音を聞けば、Bさんはその時の感情を思い出して腹立たしくなり、我慢できずにAさんに風鈴の苦情をいうことになるとH氏は述べており、問題は苦情者側の心理にあるとする。

 風鈴の良さは短時間、適度な風で時折チリンと鳴るからこそ風流で、長時間にわたってチリンチリンと鳴り続ければ、どれほど良い音であろうと他人には迷惑なものであり、Bさんが単なるプライドを傷つけられたという安直な説明で済ませるものではない。風鈴は本人が煩いと思えば、片付けて終わりだが、近隣は苦情という形をとらないと音からは逃れることはできない。昔から、常識のある方は風鈴は夜は片づけるものとしてきたことをH氏はご存じないのかもしれない。
多忙な生活に追われる現代社会ではもちろん近隣関係の希薄化は否定できないし、避けられない。しかし、たとえ良好な近隣関係があってもその関係は脆いもので、たった一つの風鈴で壊れてしまうことにもなり、近隣への細かな配慮が必要となるが、それにはH氏は触れることはない。H氏の解説は苦情者側の心理面の問題を強調しており、苦情や被害を正しく認識しているとは思えないような解説に終始する。
 
2 エアコン60台

 またH
氏は事例として二つの裁判例を挙げており、その一つが敷地境界付近のエアコン60台にj関するものである。以下は記事の要約である。
高校が敷地境界付近に室外機60台ほど設置したところ、隣接する老夫婦から騒音苦情が発生した。騒音は条例の規制値を大きく超え、高校側は4度にわたり計1000万円ほどをかけて防音塀を設置した。老夫婦は満足せず、対策が不十分として更なる防音対策を要求したが、高校側は規制値を超えておらず、対策には応じないと突っぱねた。依然として規制値を超えていることを老夫婦は専門調査会社に依頼し、計測値を提示したが、高校は受忍限度内であると主張。室外機設置11年を経て提訴に至った。判決は原告勝訴。

H
氏主張
騒音対策は騒音トラブルの解決に全く役にたたなかった。防音工事のたびに高校側は被害者意識を募らせ、原告をクレーマーとし、双方が被害者意識を持つと言う矛盾を抱えた。騒音トラブルのほどんどは煩音問題であり、必要なのは騒音対策ではなく煩音対策である。
騒音対策は音量の低減、すなわち防音対策であるが、煩音問題の場合は、相手の誠意ある対応を通しての両者の関係が対策となる。これを煩音問題に対して防音対策を行なえば、かえってトラブルはエスカレートして、こじれてしまう。」
 














 
エアコン60台(実際は57台)の設置状況は次の図のようになる(判決文よりグーグルで作成)。高校エアコン  

 まず、これは厳然たる騒音問題で、低周波音問題の可能性も十分あり、煩音という問題では決してない。この原告の方たちの被害を現代社会の希薄な人間関係や、将来に対する不安や孤独といった原告の方の心理的不安に基づくものとするのはおよそ的外れである。
家庭生活のわずか数台のエアコンであろうと、エアコンは隣家からできるだけ離すようにという注意喚起を行う自治体もある。まして、このような大量の機器、しかも教室用の大型のものを敷地内側ではなく、民家側に設置することに何の疑問を持たない高校側とその設置を行った業者の行為の責任は大きい。学校は特定工場になるそうだが、なぜ、近隣への配慮がなされなかったのか、設置事業者の無責任な行為を感じる。
提訴するまで11年、そして係争期間を入れての十数年にわたるこの劣悪な環境に耐えたその補償額が一人10万円であり、訴訟費用は原告半額負担となったが、このようなトラブルに巻き込まれた原告の方が不運であったとしかいいようがない。トラブルを未然に防ぐために、エアコンを集中させるのではなく、校舎の周囲に分散させれば、近隣への迷惑は最小限に抑えられ、原告を長年のいわれなき苦痛に陥れることにはならなかった。学校という教育の現場が近隣への配慮をせず、このような「暴行行為」を長年にわたり継続していたことに驚く。
エアコンの夜間の稼働がなかったのが、不幸中の幸いであるが、撤去には至らなかったので、今後、原告の方が低周波音に敏感にならずに健やかな毎日を送られることを願う。判決については、また改めて紹介したい。
 

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